J-POPとしてデビューしたBoA、ボーイズグループとして成功した東方神起、YouTube等で本格拡散されたEXOや少女時代…日本におけるK-POPの「3つの段階」


――流れに乗ったと思う瞬間はいつですか?

チョン:日本でBoAや東方神起が人気を得た頃です。韓国の市場が小さかったので日本に目を向け、日本のスタイルでやってみたというのがあったのだと思います。日本で人気が出たら韓国でブレイクさせるという手法も。本格的に拡散されたのはYouTubeなどのメディアの影響が大きいですね。

――具体的には、EXOや少女時代の頃でしょう か。

チョン:そうですね。そこはもうすこし掘り下げてお話ししなければなりません。日本におけるK-POPには3つの段階があったと見ています。

1つ目は、J-POPとしてデビューしたBoAのケース。

2つ目は、東方神起がボーイズグループとして成功したケース。当時は、日本で韓国のボーイズグループがうまくいくのは難しいという人がたくさんいました。でも海外のアーティストということで警戒心を解こうとしました。オリジナルのタイトル曲を英語で歌ったんです。地方の小さなステージから始め、3〜4年かけて オリコンチャートで上位に来るようになりました。その後、日本のレコード会社が韓国で契約したアーティストを日本でデビューさせるようになりました。

3つ目は、YouTubeなどオンラインで韓国のアーティストが知られるようになったことです。

――PSYが『江南スタイル』でヒットを飛ばした、2012年頃のことでしょうか。

チョン:そうですね。PSYやEXOなどが、そこから波に乗りました。

チョン・チャンファンさんがプロデューサーを務めるオーディション番組『トロット・ガールズ・ジャパン』予告編
 

 


刺激的でかっこいいブラックミュージックを、キュートなルックスの人が歌うのがK-POP


――そんな中でK-POPアーティストは楽曲的にも洋楽に寄せていったのですか。

チョン:もちろんです。欧米のダンス音楽を意識したのは、ずっと前からです。ダンス音楽は刺激的でなければいけません。よく言えばカッコよく、悪く言えば挑発的に。カッコよく挑発的に見せるために重要なのはリズムです。そのためにはブラックミュージック、R&B、ヒップホップを取り入れるのが大事です。ブラックミュージックは洋楽にも影響を与えていますが、刺激的でかっこいいブラックミュージックをキュートなルックスの人が歌うのがK-POPだといえます。

――ブラックミュージックのトレンドを意識しているのですね。

チョン:もちろんです。白人のディスコやEDMは、ブラックミュージックのような強烈さを表現するのは難しいです。