現在の土地を生かしてダウンサイジング

ある程度の土地がある方に限られてしまうかもしれませんが、敷地を分割して自分たちの住まいを小さく建て替え、残りの土地に賃貸住宅を建てるというのもダウンサイジングの1つの案です。あるいは1階を自身の住居にし、2〜3階を賃貸にしているケースもあります。

実際に筆者の近所でも、最近はこの方法を盛んに見かけるようになりました。家主の定年をきっかけに踏み込んだ場合もあれば、ご主人を亡くした女性が50歳そこそこで建て替えているケースもあります。必要最低限の空間は、暮らしやすくなると同時に毎月の家賃収入が安心につながります。

老後の資金をテーマにしたある映画では、主人公夫婦が住み慣れた戸建てを手放し、シェアハウスに移り住むというエンディングで幕を閉じました。これは極端な例かもしれませんが、ひと昔前は30代でローンを組んでマイホームを手に入れ、終の住処にするという考えが一般的でしたが、今は二拠点や田舎暮らしなど、住まいに対する意識は多様化してきています。
 

 


2階を撤去して平屋にリフォーム

私、渋澤も実家を相続し、いずれは第2の家として利用することも考えています。取り壊して平屋を新築することも考えましたが、費用がかさみますし、どのくらい利用するか分からないものに大金はつぎ込めません。築年数がかさむと耐震の面でも不安です。

そんなとき、友人が2階を撤去して平屋にリフォームしたことを知りました。ダウンサイジングするリフォームを「減築」と言いますが、階段もなくなり、バリアフリーにすることで居住性が上がったそうです。マネしたい、そう思うこの頃でした。

最後に余談ですが、先日旅行で屋久島を訪れときに感じたこと。屋久島は、バスの時間と距離の感覚が都心部とはかなりかけ離れたものでした。土地柄によって違いがあるのは当然ですが、60歳の時に大阪から移住した方が、「バス停も遠いポツンと一軒家がここには割と多いけれど、誰でも年を取るし、今後この人たちは困るよね」と話されていました。

その方はお子さんの住む大阪から直行便が出ていることもあって屋久島を選んだそうですが、ある程度年齢を重ねて引っ越しをする場合は、住み替えする先での老後の生活を想定して、駅やバス停が近くにあるか、買い物や子どもの家から行き来しやすいかなどは、どの地域を選ぶにしてもポイントとなります。
 


構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
イラスト/Sumi
編集/佐野倫子

 

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