高齢者でも賃貸住宅を借りやすい「住宅セーフティネット」

高齢者や障害者の多くは、孤独死や家賃滞納のリスクが高いことから賃貸住宅が借りづらいと言われてきました。高齢というだけで大家に敬遠され、保証会社の審査もシビアになってきます。そこでこの問題をクリアにしようということで生まれたのが、2017年からスタートした「住宅セーフティネット制度」です。

国が行う制度で、月収15万8000円以下の低額所得者、高齢者、障害者、子育て世帯、被災者などの「住宅確保要配慮者」に対して、入居を拒まない住宅を紹介するというもの。高齢者や障害者でも入居可能な民間の賃貸物件をオーナーが登録し、自治体などが入居支援を行います。オーナーには「登録住宅の改修の支援」、入居者側にも「経済的負担が軽減される支援」が用意されています。

登録住宅はこちらのサイトで検索できます。浴室やトイレに手すりがあるバリアフリー住宅も登録されているので、ぜひ一度ご覧になってみてください。
 

 


国交省が「見守り付き賃貸」を創設

国土交通省は、単身高齢者らが賃貸住宅に入居しやすいよう、見守り機能付きの賃貸物件を「居住サポート住宅」として創設しようとしています。これは、地域の社会福祉法人やNPO法人などが定期的に訪問して見守りをしたり、人感センサーなどの情報通信技術(ICT)を活用して安否確認したりするサポート住宅を、自治体が認定する仕組みを創るというもの。

認定にあたっては一定の条件が定められる予定で、築年数、構造、エリアは今後決定されるようです。入居の契約にあたっては、単身高齢者らが利用しやすい家賃債務保証会社を国が認定する制度も設けられる予定とのこと。これは、社会福祉法人やNPO法人などの個人以外を、単身高齢者などの緊急連絡先として登録可能な家賃債務保証会社を認定業者として進めることを想定しています。


乱立する見守り付きの需要と供給

「サ高住」は民間が運営するバリアフリーの賃貸住宅で、高齢者が暮らしやすい配慮がされていますが、「居住サポート住宅」は現在その基準が不透明です。住むところのない単身高齢者と空き家や空室をマッチングするのは良い考えですが、その後の孤独死や残置物処においてはまだまだ課題はありそうです。

また、相談者の叔母さんのように、足腰が弱ったことで階段の上り下りが困難になると、エレベーター付きや1階住居が条件となります。多くの高齢者が同じ状況に置かれているにも関わらず、「居住サポート住宅」にはこのような物件は多くありません。

今後どのように拡大されていくのかは期待したいところです。
 

民間が運営する高齢者向け賃貸住宅

民間でも、高齢者向けの賃貸住宅はいくつか展開されています。お住まいの地域にもあるかもしれませんので、ぜひネットで情報収集してみてください。


リレイスの「安心ハウス」
TMプランニングの「ぱれっとハウス」
須山建設の「リライフ」
エクシオジャパンの「見守り付き高齢者アパート」
 


「お金があるなら施設へ」と単純にはいかないのが高齢者の住まいの問題。介護者も、子どもがいないなどの理由で親戚が担うケースも多くなってきているようです。ただ、その場合は親子よりも財産が不透明で、立場的にも微妙ではあります。

情報は集めておいて損はありません。国も政策を考えているようなので、「こういうことも考えられているんだ」程度でも良いので、参考として頭の片隅に置いてみてください。


構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
イラスト/Sumi
編集/佐野倫子

 

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