ある調査によると、日本人は「60歳までに平均約1.8回の住み替えを行っている」という結果が出ています。国土交通省の「住宅市場動向調査」では、住宅を最初に取得した年齢は30代が最も多く、次に買い替えを行うのは60代以降。注文住宅、マンション、中古戸建住宅、中古集合住宅において、二次取得者は60歳以上が最も多いというデータが発表されています。60代になって住み替えなんて……と思われる方もいるかもしれませんが、仕事や子育てがひと段落したシニアが住み替えを考えるのは当然のこと。今回は、相談者の百合子さんと共に、住み替えについて考えます。

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高齢母は身体が元気なうちに住み替えすべき?


先日実家に帰った時のこと。ひとりで暮らす母親が、「最近不動産屋がうるさいのよねぇ」と言います。母は5年前に父をがんで亡くしてから、ひとりで暮らすようになりました。私たち兄妹のどちらかが同居しようかという話も出ましたが、当時は母もまだ60代後半。介護が必要な状態でもありませんし、母自身も「せっかく一人になったんだから、ゆっくり自分のペースで暮らしたい」ということで、マンションでの暮らしが始まりました。

とはいえ実家は、駅から20分ほどバスに乗らなくてはならない築30年の中古マンション。平米数的には、私が家族と暮らす戸建てと同じぐらいの広さなので、持て余している様子です。親が買った家ですし、親の人生なので、当時は特に気に留めていませんでしたが、最近は不動産屋からのアプローチが増しているのだとか。

どうやら不動産屋からは、「ご高齢の方はコンパクトな住まいがお勧め。身体が元気なうちに住み替えを済ませておくのが得策です。しかも今売却すれば、買値とほぼ同等の金額で取引できますよ」と営業をかけられている様子です。

そんな矢先、「コンパクトなマンションへ移るダウンサイジングのパターンが近年高齢者に増えている」というニュースをテレビで目にしました。

高齢になってから住み替えをするというのは何かと不便そうですが、それでも母はそろそろ住まいをコンパクトにした方が良いのでしょうか。我が家は私も兄も都内に家を購入しているので、実家のマンションはあてにしていません。ただ、私自身も50代後半に差し掛かり、このままこの家に住み続けるのかな?と漠然と考え始めました。

自分自身の今後のためにも、ダウンサイジングのメリットとデメリットを教えていただけますか?