良縁祈願だけでなく、なんとか「悪縁」を断ち切りたい、と願う人も少なくないのではないでしょうか。わずわらしい人間関係、直したい自分の悪い習慣など……断ち切りたい「ご縁」は様々かもしれません。

 

そうした、人にはなかなか打ち明けづらい「縁切り」の願いを叶えてくれる神様を教えてくれるのが、社会心理学者にして神社参拝のスペシャリストでもある八木龍平さんです。著書『愛される人はなぜ神社に行くのか?』では、絶対に縁切りしたいときにおすすめの神様と神社を紹介! 知っておきたい参拝の基本とあわせて、本書から特別に紹介します。

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「絶対に縁切りしたい!」なら崇徳天皇

 

ひとり思い詰めた顔をして参拝する人をよく見かける神社があります。
「縁切り」で知られた神社です。

人のご縁は結ぶだけでなく、切ることを迫られるときもあります。深刻なケースもあり、大っぴらに話せないことも多いですが、縁切りを願う人は少なからずいます。

「人の縁を切るって、一体どんな神様が担当されているのだろう?」

京都市内に縁切り神社の代名詞・安井金比羅宮(やすいこんぴらぐう)があります。ご祭神を見て、納得しました。日本三大怨霊のおひとり崇徳(すとく)天皇です。父の鳥羽天皇に嫌われた不遇の天皇として知られ、鳥羽天皇が法皇となって最高権力者の時は意地悪をされ続け、鳥羽法皇が崩御した直後、鳥羽法皇に優遇された後白河天皇に戦争をしかけられて負け、讃岐国(今の香川県)へ流罪になります。天皇・上皇の配流は、およそ四百年ぶりの出来事で、二度と京の地に戻ることなく、崩御されました。そりゃ恨みますよね。

安井金比羅宮の起源は、崇徳天皇が上皇になってよく訪れていた藤寺(ふじでら)です。上皇は藤寺に寵愛していた女官を住まわせ、たびたび訪れていたのです。上皇が讃岐国で崩御すると、悲嘆にくれた女官は出家して尼になり、上皇自筆の尊影を藤寺の観音堂に奉納し、墓を築いて遺髪を埋め日夜ひたすらお経を読んだとか。その後、ある僧が参拝すると上皇の霊があらわれたことから、崇徳上皇を流罪にした後白河法皇の命で崇徳上皇を祀る寺が建立され、明治時代より安井神社になりました。