「心の中でだったら、いくらでも悪態をついていい」。認知症高齢者と日々向き合う介護職員の本音とは？

心の救世主が放った予想の斜め上を行く言葉とは？

ヒメコさんへの感謝の気持ちでいっぱいになった畑江さんは、ヒメコさんの入浴の介助をしながらその思いを伝えます。ここでようやくヒメコさんは言葉を口にしますが、それは予想の斜め上を行くものでした。

「私の他は、みーんな出来損ないです。日本には、出来損ないの医者しかいません。みんな、みーんな頭が悪いから。この国はバカが多いのです」

 

どうやらヒメコさんの言葉は、数々の衝撃的な場面を目の当たりにしてきた畑江さんでも言葉を失ってしまうほど破壊力があったようです。混乱する気持ちを鎮めて現実を受け入れるため、畑江さんは以下のように対処しました。

「……私は、このシャワーでヒメコさんがさっきまで確かに持っていた“光属性”まで洗い流してしまったのだろうか……。一瞬そんな思いが頭を駆け巡ったが、それ以上はあまり深く考えないことにした」