驚いたのは、ロッタちゃんの家出を誰も止めなかったこと。ベルイさんは協力し、ロッタちゃんの家族たちもロッタちゃんの家に遊びに来るのです。日本だと5歳の子がそんなことをしたら全力で止めそうですが、本人の意志を尊重して好きにやらせてみるのが新鮮でした。ロッタちゃんの映画は1992年・1993年のものですが、原作の絵本シリーズは1950年代に出ています。ただ可愛くて楽しいだけでなく、子どもの意志の尊重の仕方について、ちょっと考えさせられる部分があります。
ロッタちゃんの周りの人たちもみんな愛おしくて素敵です。優しくてママを愛しているパパ、ロッタちゃんと同じくらい気が強いママ、ちょっと意地悪なお兄ちゃんのヨナス、真面目で優しいお姉ちゃんのミア。わがままなロッタちゃんに手を焼きつつ(そしてヨナスが火に油を注ぐようなことを言う)、愛にあふれた一家の幸せな光景に癒やされます。
個人的に特に好きだったのが、クリスマスやお誕生日など、イベントごとのたびに家族が歌ったり踊ったりしているシーン。とても可愛くてすてき! きょうだいでけんかしても次の瞬間にはみんなで笑っている、なんていうシーンも多く、子ども時代ってこんな感じだったなぁ、という懐かしい気持ちにもなるし、家族で観ても楽しそうです。隣人のベルイさんのひたすら優しく、ロッタちゃんのやりたいことを尊重してくれる態度にも感動します。小さいときにこんな人がお隣に住んでいたら楽しいだろうな。
わがままなだけじゃない、愛おしいロッタちゃん
きかんぼうのロッタちゃんですが、最後に自分のしたわるいことを告白して謝るなど(ママと謝り合うシーンが多いです)、愛さずにはいられない一面も。クリスマスにあるトラブルが起こり、他のきょうだいは泣いている中、お菓子やさんに「君は楽しい子なのに」と言われたロッタちゃんは「わたしは楽しい子なんだから!」と家族のために奔走するのです。
お菓子やさんは何気なく言った言葉かもしれませんが、そう言われたロッタちゃんは楽しい自分であろうと頑張りました。人にかけられた言葉に支えられることってあるよな〜と、相手が子どもでも大人でも、かける言葉はあらためて意識したいなと思わされました。
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