出版社への企画持ち込み
最初からうまくいくとは限らない。でも諦めない


1冊目の著書『死にそうだけど生きてます』(CCCメディアハウス)を出したとき、「あぁ、もうこれが人生で最初で最後の1冊なんだろうな……」と漠然と思いました。しかし、先日2冊目のエッセイ『死ねない理由』(中央公論新社)を出版することができました。今回は、本ができるまでの過程を振り返りたいと思います。

本を出したい! でも一体何すればいい? から始まったライターが振り返る「私の本ができるまで」_img0
ヒオカ新著『死ねない理由』(中央公論社)、絶賛発売中でございます。

商業出版といっても、ジャンルによって本ができるまでの過程やかかる時間はそれぞれ。例えば、小説といっても数ヵ月で書き上げる人もいれば、構想から完成まで5年、それ以上と気の遠くなるような時間をかける人もいます。私は2冊ともエッセイという形で出版しました。1冊目は全編書き下ろし、2冊目は連載をまとめたもので、そこに書き下ろしを加えました。

まずはじめは、そもそも本を出したい! とは思っていませんでした。というより、自分に本なんて出せるわけがないと思っていたので、本を出すという選択肢すら考えたことがなかったんです。でも、いろんな人に、文章を仕事にするなら本を出した方がいいと言われ、自分にも本を出すという選択肢があるんだなと思い、出版を目指すようになりました。

まず、本を出すには、「本を出しましょう!」と言ってくれる編集者を見つける必要があります。ここがまず大きな関門です。私の場合1冊目は、書籍企画を持ち込んだ1社目の出版社では、残念ながら企画が通りませんでした。

 

有名だったり、売れっ子の作家であれば、編集者の方からどんどんオファーがあるでしょうが、新人はそういうわけにはいきません。私は、自身の体験を書いたnoteの記事を元に書籍化することを目指し、1社目の出版社に持ち込みました。ちなみに、企画を持ち込むときは、きっちり企画書の体裁にした資料を用意することもありますが、ざっくりした内容を用意して、詳細は口頭で伝える場合もありました。

1社目からは、「既に無料で読める記事を本にしてもお金を払う人はいない」と言われ、断られてしまいました。当時はそれを聞いて、そっか、難しいのか……と落ち込みましたが、今思い返せば、それをどうやったら売れるか考えるのが出版社の仕事では? なんて少し思ったりします(笑)。しかしその後、他の出版社の編集者に提案すると、即やりましょう! と言われ、出版が決まりました。初めてオンラインで話すとき、プレゼンをしてなんとか出版にこぎつけようと準備していましたが、編集者はnoteの記事を読んで、話す前からすでに心は決まっていたそう。あまりにあっさり決まりすぎて、拍子抜けしたことを覚えています。

2冊目のときは、連載の書籍化をしたいと一度出版社側に相談しましたが、何か大きなテーマがないと、身辺雑記だけでは無理、といわれてしまい実現せず。そのときも、いや、それを考えるのが出版社の仕事ちゃうの? と思いました(笑)。ただ単に、その編集者が私の文章にピンときていなかったんでしょう。しばらく経って、同じ出版社の別の編集者から書籍化したいと言われ、出版が決まりました。聞けばその編集者は、サイトを見ていたところ私の連載が目に留まり、書籍化したい! と思ってくれたそうですが、当時書籍編集者ではないポジションにいたそう。異動で書籍編集者に戻り、本を出しましょうと声をかけてくれたのです。こんな風に、同じ出版社内でも編集者の反応は全く違います。巡り合わせやタイミングってとっても大事!

企画会議
最大の関門は、編集者を信じて待つのみ

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写真:Shutterstock

連載は、必ず書籍化されるわけではありません。本人が望んでも、まず「書籍化したい」と思ってくれる編集者がいなければ実現しませんし、仮にそう言ってくれる編集者が現れたとしても、企画会議を通らなければ書籍化はできません。

私の場合は、先ほど触れたように、もう書籍化は諦めかけていたころに、本にしましょうと言ってくれる編集者に出会い、書籍化することができました。書籍化できるかどうかは、やはり巡り合わせの部分が大きいと感じます。

中には、何社もあたってやっと出版が決まる人もいます。同じ企画でも編集者によって反応は全く違います。ある社ではボロカス言われても、他社ですんなり通り、ヒット、なんてことも。企画が悪いのではなく、出版社側が得意とするテーマではないということもあります。あとはタイミングも重要です。内容に自信があるなら、1回だめでも、数打ちゃ当たる精神で諦めないことが大事だと感じます。

そして、編集者を見つけた後、待っている最大の関門が出版社の企画会議!

編集者がOKと言っても、企画会議で企画が通らなければ出版はできません。逆に、これさえ通れば出版は確実になります。ただ、企画会議で企画を通すのは編集者の仕事。ここは編集者の腕の見せ所! 著者は信じて待つしかありません。幸い、1冊目、2冊目共に無事企画会議を通過し、出版が決まりました。