自分が冴羽獠をやることを許してもらえるのか
推し活のような「冴羽獠」への愛が止まらない一方で、実際に今回、Netflix映画「シティーハンター」で主人公の冴羽獠役を演じ、さぞかし心躍る思いがあったのかと思いきや、「いやー、その逆です」と、本音を漏らします。
「冴羽獠を演じることがどんなに楽しいものだろうかと昔は想像していたのですが、いざ自分がその立場になってみると、僕の思う『シティーハンター』と、ファンそれぞれが思う『シティーハンター』は全然違うということに改めて気づいたからです。
アニメを見ていたのか、原作の漫画を読んでいたかでも違って、世代によっては際どいジョークの捉え方まで違う。つまり、自分の意見が100%ファン代表というわけじゃない。2時間の映画の中に『シティーハンター』の魅力を詰め込むことを考えた時に、原作と変えざるを得ない部分をどれくらい許してもらえるのかということもありますし、そもそも鈴木亮平が冴羽獠をやることに対して、許してもらえるのか。ちゃんと眠れていないぐらいです。
好きなものを皆さんにお届けすることが、こんなにも自分を緊張させるものだということを感じています」
愛情がたっぷりある作品だからこその葛藤とも言えるものです。また、この難しさが勢いのある作品力に繋がっていったことに「自信はありますか?」と尋ねると、「そうですね」と肯定し、言葉を続けます。
「『シティーハンター』が生まれた国で、新宿という街を使って実写化する初めての『シティーハンター』としては、今まで実写化された作品の中ではオリジナルのテイストを入れ込んだ1つのアンサーとしては提示できたかなと思っています。実写化するならこういうやり方がありますよねと言える、満足がいくものになっています」
しかも、Netflix映画「シティーハンター」の舞台は“令和”の新宿です。オファーを受けて、企画内容を知った段階から自然とそのアイデアに賛同した理由にも作品愛が溢れていました。
「今でも新宿にいると、新宿には冴羽獠がいると信じている自分がいるんです。昭和と平成にしか冴羽獠がいなかったとは思ってなくて。はじめて上京した時に(冴羽獠が仕事の依頼を受ける時に使われる)駅の伝言板を本当に探しましたし、今でも新宿に行くたびに、ちょっとキュンってするんですよ。この街のどこかに冴羽獠がいるのかなっていう感覚があるんです」
ストーリーが、冴羽獠がヒロインの槇村香(森田望智)との出会いを描くはじまりの物語というのもこの作品の妙味です。
「見終わった後に、この後の、獠と香の本来の『シティーハンター』の物語を見たいと思ってくれたら最高です。そんなふうに作ったつもりです。見ていただいて、もしそう思っていただけたら『続きが見たい』とバーっと大きく叫んでいただければ、必ず届きます(笑)。本当に必ず」
最後の最後まで「シティーハンター」愛を真面目にもお茶目にも語る姿は、冴羽獠が鈴木亮平さんの心の中にいるかのよう。この熱量を作品で確認する価値があります。
Netflix映画「シティーハンター」
Netflixにて世界独占配信中
出演:鈴木亮平 森田望智 安藤政信 華村あすか / 木村文乃 橋爪功
原作:北条 司「シティーハンター」
監督:佐藤祐市
プロデューサー:三瓶慶介、押田興将
脚本:三嶋龍朗
エンディングテーマ:「Get Wild Continual」TM NETWORK(Sony Music Labels Inc.)
製作:Netflix
制作:ホリプロ
©北条司/コアミックス 1985
構成/山崎 恵
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