北澤 両親が、昔から海が好きだったみたいで、日本でもアメリカでも海の近くに住んでいたんです。それで高校生のころ、やることもお金もないので、よく友だちと海に行ってて。砂浜に座って、波が行ったり来たりするのを見るのがなんかすごく好きでした。波の音もすごい好きですし、無限に繰り返される感じも……。

中田 波の音って、いいですよねぇ。音楽とはまた違う癒しがありそうですね。水つながりでいえば、「皿洗い」もあげられていますが。

北澤 家事は全般的にそんな得意でないのですが、皿洗いだけは好きなんです。いちばん頭が無になる感じがあって。アイデアを思いつく時ってたいてい、皿洗いをしているときなのです。

中田 面白い! 私はお風呂に入ってる時、とくに頭を洗っているときに企画を思いつくことがよくあります。

北澤 水の音って何かしら、あるのかもしれないですね。さっきの波打ち際とかも……。そういえば、雨の日とかって、何かを思いつく確率が高い気がします。

中田 確かに。晴れの日って太陽の光でウキウキしちゃいますが、雨の日ってもうちょっと自分と向き合えますよね。

北澤 雨がバリアになってくれているのかもしれないですね。

中田 そして「黄色」。私も黄色大好きなんです。ワーナー・ブラザーズのキャラクターでトゥイーティーっているじゃないですか。若い頃あれに似てる、黄色が良く似合うと言われて洗脳されてしまって。主人も、「きみはすごい黄色が似合うよね、ピカチュウの次に似合うよね」て言うんです(笑)。

北澤 確かに中田さん、黄色がお似合いになりそうです(笑)。私は特に意識してなかったんですけど、気がついたら黄色いものが増えていて。そういえば。『ゆらゆら』も黄色です。

【大人も読みたい絵本『ひげが ながすぎる ねこ』】かわいらしさの裏に潜む闇や数学的感覚とは? 人気イラストレーター・北澤平祐さん&お菓子缶研究家・中田ぷうさん特別対談_img0
自然と黄色い物が集まってしまったという、北澤さんの私物。

中田 だから私、フランセのレモンケーキのデザインがすごく好きなんです。黄色と黒ってともすると、某野球チームっぽくなったり、強くてきつい色合わせになったりしがちなのに上品で。あのレモンケーキ、よくお土産にしています。

【大人も読みたい絵本『ひげが ながすぎる ねこ』】かわいらしさの裏に潜む闇や数学的感覚とは? 人気イラストレーター・北澤平祐さん&お菓子缶研究家・中田ぷうさん特別対談_img1
中田ぷうさんも大好きだという、「フランセ」のレモンケーキ。

北澤 うれしいです。ありがとうございます。

中田 それから「メキシコ料理」。メキシコ料理って日本だとあんまりないですよね。

 

北澤 アメリカに住んでいたときの親友がメキシコ人で、よく彼の家に行っていたんです。そのお母さんが作ってくれるメキシコ料理がすごい美味しくて。あっちってしょっちゅう、親戚とか友達とか呼んでパーティするんですが、その華やかな感じも楽しくて。私はどちらかというとふだんはダークに引っぱられがちなので、底抜けに明るいものに憧れがあるのかもしれないです。

中田 なるほど。それらが北澤さんの中で混じり合って、いろんな作品が出てくるのかなっていう感じがします。

北澤 そういえばメキシコ文化って、死者の祭りとか、ガイコツモチーフとか、そういうダークなものも明るくして楽しむところもありますよね。

中田 確かに。頭蓋骨を派手にデコレーションしていたりしますもんね。最後に「ねこ」。ねこはホワンホワンが1代目ですか?