ニュースなどでしばしば話題になる「憲法」。「学生時代に条文を丸暗記した」という方も多いかもしれません。でも、そもそも憲法って何でしょうか? 『檻の中のライオン 憲法がわかる46のおはなし』の著者である弁護士の楾 大樹(はんどう たいき)さんは、「広く国民が憲法を知り、使いこなさなければいけません」と語ります。憲法の条文をただ丸暗記するのではなく、「なぜそうなっているのか」理由を考え、憲法の仕組みをもっと詳しく知ることは、私たちの暮らしを守るためにとても重要なのです。
今注目を集めるキーワードを深掘りする連載「気になるニュースなことば」、社会派ライターの渥美志保とミモレ編集部の立原がお届けする今回のテーマは「日本国憲法」。第3回は、「憲法の使い方について」です。

【『虎に翼』でも話題の“日本の法”】憲法は、私たちが幸せに暮らすために、私たちが「使う」もの。『檻の中のライオン』著者・楾大樹さんが詳しく解説。<日本一わかりやすい憲法の授業③>_img0
 


渥美 前回は「私たちって主権者だし、結構いろんな自由と権利を持ってるんだな!」とわかり、気持ちが楽になりました。でもそういう権利とか自由を上手く使えていない、という典型例が、前回の最後の「選挙権」なのかもしれません。

立原 日本の投票率の低さってすごいですよね。せっかく国民が政治に対してものを言える権利なのに。

渥美 それがまさに私たちが「憲法を使えてない」っていうことなんです! というわけで今回のキーワードは「憲法を使う」です。解説は前回に引き続き、弁護士の楾大樹さんです。著作のベストセラー憲法本のタイトルになっている『檻の中のライオン』とは、「権力者(ライオン)」が好き勝手に権力を使えないよう縛る「憲法(檻)」の例えなんですよ。それではよろしくお願いいたします。
 

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楾 大樹(はんどう たいき)
弁護士。ひろしま市民法律事務所所長。1975年広島県生まれ。2004年弁護士登録(広島弁護士会)。離婚、相続、交通事故、債務整理、中小企業顧問など多数の案件を手掛ける弁護士だったが、憲法問題が次々に起きた2013年以降の政治の動きに衝撃を受け、弁護士業務をなげうって憲法伝道師に。著作に『檻の中のライオン 憲法がわかる46のおはなし』『けんぽう絵本 おりとライオン』『けんぽう紙芝居  檻の中のライオン』『檻を壊すライオン 時事問題で学ぶ憲法』(以上、かもがわ出版)、『茶番選挙 仁義なき候補者選考』(あけび書房)。ライオンのぬいぐるみを使った「『檻の中のライオン』憲法講座」は全都道府県で1000回を超える。
YouTube「はんどう大樹 檻の中のライオンちゃんねる」


第1回【日本一わかりやすい憲法の授業①】憲法が縛るのは「国民」ではなく「国を動かす権力者」。『檻の中のライオン』著者・楾大樹さんが語る「憲法とは?」>>

第2回【日本一わかりやすい憲法の授業②】とりわけ重要な“条文”と、その“意味”とは? 『檻の中のライオン』著者・楾大樹さんが詳しく解説。>>
 

 


楾 よろしくお願いします。

渥美 さて今回は「うちは代々〇〇党を支持しているから」なんていう思考停止から脱却したい! というテーマから始めたいと思います!

楾 国民が政治に関心を持ち、議論が飛び交い、皆が自分の一票を投じる、政治家の不正は私たちが正す、という風土があれば、権力者は「ちゃんとやらなきゃ」となるはずです。が、前回も述べたように、「うちは代々」「うちの組織は」「うちの社長が」というような投票行動をする方や、投票に行かない人も多いですね。

ここ10年、様々な憲法違反が起きています。安倍政権下での憲法違反の事例をひととおり集めたら、憲法を学べる本が出来ました。『檻を壊すライオン 時事問題で学ぶ憲法』です。安倍政権下では、ライオンが「檻から出ちゃえばいいじゃん」と、檻のさまざまなところを壊しました。ですので、安倍政権を振り返るだけで憲法をひととおり学べます。そんな政権が歴代最長となったのは様々な要因があると思いますが、主権者教育が根本的に欠けていたことが大きいと思います。憲法を守らなければならないのは政治家で、政治家の憲法違反を取り締まるのが私たちだ、ということを知らない人が多いと思います。菅政権、岸田政権も、安倍政権のやり方を引き継いでいるところがあります。

【『虎に翼』でも話題の“日本の法”】憲法は、私たちが幸せに暮らすために、私たちが「使う」もの。『檻の中のライオン』著者・楾大樹さんが詳しく解説。<日本一わかりやすい憲法の授業③>_img1
権力者が、檻のさまざまなところを壊してしまった?

渥美 憲法違反の政治が行われていたら、どうしたらいいんでしょうか。