ニュースなどでしばしば話題になる「憲法」。「学生時代に条文を丸暗記した」という方も多いかもしれません。でも、そもそも憲法って何でしょうか? 『檻の中のライオン 憲法がわかる46のおはなし』の著者である弁護士の楾 大樹(はんどう たいき)さんは、「広く国民が憲法を知り、使いこなさなければいけません」と語ります。
憲法の条文をただ丸暗記するのではなく、「なぜそうなっているのか」理由を考え、憲法の仕組みをもっと詳しく知ることは、私たちの暮らしを守るためにとても重要なのです。
今注目を集めるキーワードを深掘りする連載「気になるニュースなことば」、社会派ライターの渥美志保とミモレ編集部の立原がお届けする今回のテーマは「日本国憲法」。第2回は、「重要な条文と、その意味について」です。
渥美 さて前回は、私達が「憲法」とか「改憲」とかについて、実のところ何ひとつ分かっちゃいなかった! という衝撃的事実が発覚しましたね(笑)。
立原 私も全然理解できていませんでした……。
渥美 ようやくスタートラインに立てたという気持ちの渥美です。ということで、mi-molletの『虎に翼』を目指すべく、憲法をさらに深く(というか基本の基本を!)学んでいきたいと思います。解説は前回に引き続き、ベストセラー憲法本『檻の中のライオン』の著者で、弁護士の楾 大樹さんです。ということで、よろしくお願いいたします。
第1回【日本一わかりやすい憲法の授業①】憲法が縛るのは「国民」ではなく「国を動かす権力者」。『檻の中のライオン』著者・楾大樹さんが語る「憲法とは?」>>
渥美 早速ですが、憲法で最も大事な条文はどれでしょうか?
楾 13条の「個人の尊重」ですね。
13条すべて国民は、個人として尊重される。 (後略)
楾 個性、立場、価値観、考え方など、様々な個人が、みんなで折り合いをつけて共存してゆく仕組みが憲法です。私たちがみんな、人間らしく、自分らしく暮らしていくには、ルールを作ったりして私たちを仕切ってくれる「国家権力」が必要です。私たちが幸せに暮らすために、国がある。戦時中の日本はこれが逆転して「お国のために死ぬ」となってしまっていました。そういう考え方はもうやめましょう—— これが13条です。
渥美 でも権力者が自分のために権力を使うことって、ありがちですよね。今もそうなってるし。
楾 大樹(はんどうたいき)
弁護士。ひろしま市民法律事務所所長。1975年広島県生まれ。2004年弁護士登録(広島弁護士会)。離婚、相続、交通事故、債務整理、中小企業顧問など多数の案件を手掛ける弁護士だったが、憲法問題が次々に起きる2013年以降の政治の動きに衝撃を受け、弁護士業務をなげうって憲法伝道師に。著作に『檻の中のライオン 憲法がわかる46のおはなし』『けんぽう絵本 おりとライオン』『けんぽう紙芝居 檻の中のライオン』『檻を壊すライオン 時事問題で学ぶ憲法』(以上、かもがわ出版)、『茶番選挙 仁義なき候補者選考』(あけび書房)。ライオンのぬいぐるみを使った「檻の中のライオン憲法講座」は全都道府県で1000回を超える。
YouTube「はんどう大樹 檻の中のライオンちゃんねる」