閉ざされた心に差し込んだ「検察官」という光
国際線のキャビンアテンダント(CA)だった40代女性・相澤真理(仮名)さんは、自身で「私の人生は、25歳まで完璧でした」と語るほど順風満帆な人生を歩んでいました。
経済的にゆとりのある家庭ではありませんでしたが、母親の期待に添うように「お嬢様学校」と呼ばれる中高一貫校を卒業し、地元の私立大学に推薦入学。大学の成績も良く、当時は就職氷河期であったにもかかわらず国際線CAという花形職業に就くことができました。しかし、そこから彼女の人生に暗雲が漂い始めます。
職場では生来の完璧主義が仇となり、上司や同僚と打ち解けることができずに孤立。さらに彼女の接客態度に対して乗客からクレームが出るなど、やる気が裏目に出る出来事が立て続けに起こったのでした。
入社後3年目を迎えても、職場では孤立したまま、CAの仕事にやりがいは見出せませんでした。
一度、通勤途中に交通事故に巻き込まれ、足を怪我して1週間の入院を余儀なくされたことがありました。病院で目覚めた時、「これで仕事に行かなくていい」とほっとしたのを覚えています。
この頃から、既に軽い鬱状態が始まっていて、精神科にも通院していました。遅かれ早かれ仕事は続けられなくなると思っていましたが、一番気がかりだったのは母親です。こんな形で退社するなんて、きっとがっかりさせるだろうなと思うと、なかなか踏ん切りがつきませんでした。
CAよりも社会的信用のある職種とか、企業に転職できないものか悩んでいました。
弟に公務員に向いていると言われたことを思い出し、調べていたところ、目に入ったのが法科大学院の募集です。以前、何かの雑誌で、CAから司法試験を受けて検察官になった女性の記事を見たことがありました。
「これだ!」
私は雷にでも打たれたような衝撃を受けました。ようやく、心にかかっていた霧が晴れ、希望の光が差し込んできたのです。
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