ターニングポイントを見誤らなければ……学歴が「烙印」に
検察官になると決めた相澤さんは、仕事を辞め、法科大学院への入学を目標に1年間の予備校通いを始めます。地方の私大出身という自身の学歴にコンプレックスを持っていた彼女は、「東京大学」の法科大学院を第一志望に据えて入学試験に挑みます。
ところが、入試の結果は散々でした。東大は無理でも、東京六大学のどこかに入れればと思っていたのですが、結局、引っかかったのは、卒業した大学より偏差値の低い大学の大学院でした。
予備校の仲間たちも、有名な大学の大学院には合格できず、進学を断念する人もいました。都内の有名私立大学を卒業している男性は、
「もし司法試験に合格しなかったら、微妙な学歴だけが残るよな……。学費も高いし、烙印になったらと思うと躊躇する……」
彼が言った通り、学歴は私にとって烙印になりました。この時点で、止めておけばよかったのです。
ここが、ターニングポイントだったと思っています。公務員試験に切り替えればよかったと……。
それでもその時は、大学院はあくまで試験の切符を得るところで、最終的に司法試験に受かりさえすればキャリアは開けるのだからと進学を決めました。
集まった学生たちは、意外にも私より学歴が高い人たちばかりで驚きました。負けず嫌いの私は勉強に励み、成績は上位でした。
院生生活はとても充実していました。学生たちの年齢もバラバラで、いろんなバックグラウンドを持つ人と話ができました。男女の割合では男性の方が多く、なぜか気が楽でした。女性だけのコミュニティは、CA時代でもうこりごりでしたから……。
順調に3年間を過ごし、最初の司法試験の受験日を迎えました。大学院の成績は良かったので自信はあったのですが、時間配分が上手くいかず、不本意な結果となりました。不合格です。
とてもショックでしたし、30歳で転職という計画が狂い、途方に暮れました。
大学院の学費は奨学金制度を利用していましたが、予備校の費用や生活費は貯金から出していました。アルバイトなどできる余裕はありませんし、あと1年、持つかどうか……。
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