まずは自動思考の根底にある「スキーマ」を探り当てる

生きづらさを改善するには、18種類ある「スキーマ」がカギ。なかなか変わらないネガティブな自分とおさらばするには?_img0
 

自動思考の元になっている、その人の信念や世界観のことを心理学用語で「スキーマ」といいます。あなたを生きづらくするネガティブな自動思考の根源には、ネガティブなスキーマ(世界観)があります。
 

 


ネガティブなスキーマは、たとえば、恐怖や不安、悲しみ、愛情の欠如、ネグレクト、虐待など、過去の傷つき体験に端を発しています。

その原因を探り、理解し、手放していくことで、生きづらさを解消していくことを「スキーマ療法」といいます。日本では公認心理師の伊藤絵美先生が、スキーマ療法をわかりやすく解説した本やワークブックを多数出版されています(『自分でできるスキーマ療法ワークブック』星和書店、『ケアする人も楽になる マインドフルネス&スキーマ療法』医学書院ほか)。

ここでは、スキーマ療法について詳述することはしませんが、自分にはどのようなスキーマがあり、どのような思考が癖になっているのかを理解することは、あなたの生きづらさを改善するヒントになると思います。

スキーマは、自己犠牲スキーマ(私がなんとかしなければ)、服従スキーマ(言うことをきかないと嫌われてしまう)、見捨てられスキーマ(いつ見捨てられるかわからない)など、18種類あります。

たとえば幼い頃、親に見捨てられた経験のある人は、大人になってからも「また見捨てられるかもしれない」「人は裏切るものだ」と考えることが癖になっていて(見捨てられスキーマ)、なかなかそこから抜け出すことができません。

スキーマから逃れるためには、まず、自分が「あ、またスキーマに支配されているな」と気づき、「“また見捨てられる”と思うのは、過去の記憶がそう思わせるだけで、それがすべてではない」と理解することが必要です。