「賢く紫外線ケアしてますか?」日焼け止めブランドの本気度から見るUVケアの大切さ_img0
 

これからの季節、特に気をつけたいのは紫外線。紫外線はシミやしわなどのエイジングサインにも影響を及ぼすとわかっていても、実際、どれくらいケアすればいいのかわからない、というのが正直なところ。「紫外線対策は必須」と語る美容のプロたちの声とともに、UVケアの歴史から読み解く今のUVケア市場の最新事情をレポートします。

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【2024年のおすすめ美白スキンケアコスメ】美容成分のプロが、40代以降の肌にいちおしの製品を紹介します!>>
 

ビューティサイエンティスト/岡部美代治さん
大手化粧品メーカーに35年以上勤務し、商品開発・マーケティングを担当し、数々のヒットコスメを手掛けた。美容コンサルタントとして独立後、化粧品会社の商品開発のアドバイスや美容教育アドバイスの他、講演などを精力的に行う。定期的に開催している「ビューティサイエンスセミナー」は今年で10年目に突入。昨年8月には自身が監修した『正しく知る・賢く選ぶ 美容成分大全』(ナツメ社)が出版され、美容業界に携わる人たちの美容の教科書として話題に。詳しくは「ビューティサイエンスの庭」をチェック。

美容ジャーナリスト/柳田美由紀さん
1988年大学卒業後、株式会社コーセーに総合職として入社。当時は存在していなかったシート状クレンジング料などを考案。その他、宣伝・PR・新規事業開発などの業務を経て、1997年独立。メイク、スキンケア、ヘアケア、美容家電、美容医療まで、美容領域のモノコトを専門に、女性向け雑誌やWEB媒体などで編集執筆活動、コンサルティング等で活動中。新商品発表会のレポートを独自の切り口でSNSでもアップしていて、コスメマニアの間では有名。インスタグラム:  @beauty_cosme_from_japan 

美容エディター・ライター/長谷川真弓
編集プロダクションを経て、広告代理店で化粧品メーカーの営業を7年半担当。化粧品のおもしろさに目覚めたのち、2009年INFASパブリケーションズに入社。美容週刊紙「WWD Beauty」の編集を担当し、2014年にフリーへ転身。ビューティにまつわるヒト・コト・モノを精力的に取材していて、ミモレでも美容企画を取材・執筆している。


今回、お話を聞いたのは…

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蘇武竜太朗さん/カネボウ化粧品 研究員
化粧品原料の解析業務、スキンケア製剤開発を経て、現在は日焼け止め製剤の開発を担当。日焼け止め剤についての知識は深く、各部署から「こんな商品を作りたい」「こういうことって技術的に可能なの?」など商品開発チームからの相談も受けている頼りになる存在。昼休みに屋外でテニスをする時は「ジェルUVを欠かさず使用しています!」。

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梶 直美さん/カネボウ化粧品 アリィー開発 開発マネージャー
スキンケア、サンケアの商品開発などを経て、現在はアリィーの商品開発を担当し、今年で7年目。チークUVはコロナ禍中に開発し、大ヒット商品となった。通勤時のメイクは「ノーファンデUVにコンシーラーを。最後は皮脂に強いフェイスパウダーで仕上げています」。

 


UVケアへの意識の変化、いつから始まったの? 


長谷川:今年も猛暑になりそうですね。気になるのは紫外線対策。もちろん、皆さん紫外線対策はされていると思いますが……。

岡部:肌のことを考えたらUVケアは必須。日焼け止めは毎日のスキンケアの最後に必ず入れてほしいステップだよね。

柳田:もちろん紫外線対策はしていますが、日焼け止め製品はレジャーや屋外にいる時に使っていますね。日常ではUVケア機能がある化粧下地を使っているかな。日焼け止めとメイク機能をひとつで叶うというのはありがたいもの。

長谷川:日焼け止めが苦手な人でも「化粧下地は使っている」という人多いですよね。柳田さんがおっしゃるとおり、選択肢が増えたことによりUVケアの意識も広がりつつあるのかも。でも、UVケアの歴史っていつから始まったんだろう?
 


カネボウ化粧品 蘇武さんに聞きました!

「賢く紫外線ケアしてますか?」日焼け止めブランドの本気度から見るUVケアの大切さ_img1
 

「絶対焼かない」日焼け止めブランドのカネボウ化粧品アリィーの日焼け止め研究をしている蘇武さんにUVケアの歴史について聞いてみました。

Q:UVケアはいつから始まったのでしょうか?
A:紫外線や日焼けという視点で歴史をさかのぼってみると、1940年〜80年代までは「キレイに焼くためのサンスクリーン」が主流だったんです。紫外線を防御するというよりも、キレイに焼きましょうと。だから、ミモレ読者の方々は日焼けしていませんでしたか? 
それが1990年以降は一転し、「紫外線ケア」つまりは紫外線から肌を守りましょう、という意識へ変わります。そのターニングポイントとなったのが光老化研究です。紫外線がシミやしわに影響を及ぼすことがわかり、「キレイに日焼け」から「紫外線を予防する」時代へとなるわけです。
 



柳田:懐かしいわ〜。80年代なんてバリバリに焼いていたわよ〜。どれだけ焼けているかを競っていたくらい(笑)。

岡部:他社も含め、サンスクリーンの広告とかもバンバン出ていたよね。僕らが入社した頃は「日焼け=キレイ」で、日焼け止めという言葉もなかった時代だったんだ。僕は登山が好きでよく山へ行っていたけど、腕や脚の紫外線ケアは長袖・長ズボンでガードしていたし、敢えて言うなら唇の紫外線対策くらいかな。

長谷川:それが一転したのは、紫外線が肌に影響を及ぼす「光老化」のことですよね。紫外線を日常的に浴び続けると、顔にしわやシミ・たるみなどの老化現象が生じますよ〜、と。

柳田:確か1988年頃だったかな。私、この年に化粧品メーカーに入社したので、この光老化の話はよく覚えているの。「日焼けってシミだけじゃなくて、シワやくすみなど老化そのものを進めてしまうのね」と。

岡部:紫外線が肌に影響を及ぼすとわかれば、「何とかしなきゃ」と立ち上がったのが化粧品メーカー。僕らに課せられたのは、紫外線からいかにして肌を守るか……日焼け止めの商品開発だったんだ。
 

肌を焼かない、という習慣を定着させたのは?

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柳田:今でこそ言えるけど、当時の日焼け止め製品って使い勝手が良いとは言えなかったのよね。テクスチャーはベタベタして重かったし、白いの。塗り込んでも白いままでしょ。海や山に遊びに行った時の写真はみんな顔が真っ白だったのよ(笑)。

岡部:その時代を知らない人は想像できないかもしれないけど、驚きの白さだったね(笑)。日焼け止めの歴史って実はそんなに長くなく、SPFやPAの紫外線防御値のガイドラインの設定も1992年以降の話だからね。

長谷川:それを2人ともスラスラと話せていることがスゴいんですけど(笑)。それはさておき、日焼け止めの概念が変わったきっかけは何だったのでしょうか? 
 


カネボウ化粧品 蘇武さんに聞きました!


Q:カネボウの日焼け止め研究のターニングポイントは?
A:各メーカーでサンスクリーン剤の研究が活発化して「SPF戦争」といわれた時期もありました。海外ではSPF100という日焼け止めもあったくらい。カネボウもメーカーとしてトライした時期はあったのですが、テクスチャーや仕上がりなど課題をクリアできず、諦めたと聞いています。

日焼け止めという製品目線でお話すると、2010年頃に開発されたOW処方(Oil  in Water)が大きなきっかけになったと思います。OW処方というのは外側が水で、中にオイルを閉じ込めた製法です。身近なモノでいうと、サラダにかけるドレッシングも同じ製法です。

肌に触れる時は水なので、化粧品で応用するとみずみずしくて軽やかなテクスチャーが叶うんです。このテクスチャーを上手に使えないかと考え、日焼け止めに応用することにしました。この処方によりジェル製剤が可能になり、2011年にアリィー エクストラUVジェル(ミネラルモイスト)が誕生したのです。

Q:ジェルタイプの日焼け止めの反応はいかがでしたか?
A:このみずみずしさに驚かれた方が多かったようです。ベタベタする・白さが残るといった日焼け止めに対するネガティブイメージが払拭できたのも事実。日焼け止めが身近なモノとなり、ここからお客様のUVケアの関心も高まったと感じています。



柳田:ジェル剤型の日焼け止めが登場した時、美容ジャーナリストや美容ライターたちは「これで本当にUVカットできるの?」と驚きの声があがったの。それまでが重いテクスチャーだったでしょ。みずみずしいジェルはその真逆だったから(笑)。

長谷川:テクスチャーって大事ですね。使い心地がよくなるとUVケアの意識もここまで変わるんですから。これが化粧品のスゴいところ! 余談ですが、今、市場ではジェルタイプを購入するお客様が圧倒的に多いそうですよ。

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UVジェルの進化版としてテカリにくく、ベタつかない顔・からだ用UV。ベタつきにくく涼やかな使用感はこれからの季節にぴったり。アリィー クロノビューティ スムースジェルUV SPF50+・PA++++ UV耐水性★★ 60g ¥2310(編集部調べ)数量限定発売/カネボウ化粧品


「日焼け止め」機能だけでは選ばない時代へ


長谷川:メーカー側の目線から市場の変化をどのように感じていらっしゃるか、また、モノ作りにどのように反映されているか聞いてみたいですね。アリィーの商品開発を担当している梶直美さんにお話を聞いてみましょう。
 


カネボウ化粧品 梶さんに聞きました!


Q:お客様のUVケアの意識の変化に伴い、商品を開発するヒントや変化はありますか?
A:皆さんもご存知の通り、アリィーは「絶対焼かない」というのが大前提のスキンケアブランドです。UVケアという機能面では他社に負けない製品を提供していますが、ここ最近の傾向として、肌を焼かないための技術の進化がものすごく進化しています。

例えば、「日焼け止めを塗っているのに焼けてしまうのはナゼ?」という疑問。実は洋服などのこすれやまさつで日焼け止めが取れてしまっていることがわかり、こすれにも強い「フリクションプルーフ技術」を2018年に搭載しています。

また、日焼け止めと同時に日中の肌悩みにも応えるプライマーも作りました。今年2月に発売した美耐久プライマーです。UVケアはもちろん、一日中きれいが続くために7つの肌悩みにアプローチしています。

日焼け止め機能のほか、スキンケアブランドと同等の肌効果を持たせた化粧下地は、ファンデーションやメイクとの相性もよく、さらに化粧もちがずっと続く。これだけ聞くと、メイクブランドの化粧下地と思いますよね。アリィーはさらにその上を目指し、メイクの上からも塗り直しができるようにしました。外出先での紫外線対策もばっちりなんですよ。

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UV下地だけで7つの肌悩みにアプローチ。さらに朝のメイクがそのまま8時間続く、ロングラスティング効果も。まさに美耐久プライマー! アリィー クロノビューティ ラスティングプライマーUV SPF50・PA++++ UV耐水性★★ 25g ¥1980(編集部調べ)/カネボウ化粧品

 

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岡部:汗・水・皮脂にも強いというのはあったけど、こすれにも対応したフリクションプルーフ技術を採用したのは新しかったよね。驚きと同時にさすがだね〜と。

柳田:アリィーの技術は本当にスゴい。朝塗りたてのメイクがそのまま続く、というアリィー クロノビューティ ラスティングプライマー UVも嬉しいですよ。「美耐久」とはうまいネーミング!

長谷川:メイクの上からでもヨレずにUVケアできるって、嬉しいなぁ。紫外線対策は一度塗ったら「はい、おしまい!」ではなく、ガードし続けないといけないですからね。

 
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