ミドル世代のお口トラブルのなかでも特に気になる「口臭」。40〜50代女性の歯周病率は? 舌はみがくべき? 意外と知らない、「口臭」の真実を、昭和大学歯学部講師で歯学博士歯科医の新妻由衣子先生に聞いてみました。

意外と知らない「口臭問題」。歯科医に聞いた「歯みがきに必要な時間は3分ではなく最低5分」_img0
 


教えてくれたのは……
新妻由衣子先生

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昭和大学歯学部歯科保存学講座保存修復学部門 講師・歯学博士。2014年日本大学歯学部卒業、2018年昭和大学大学院美容歯科学修了。日本歯科保存学会認定医。日本歯科審美学会認定医。保存修復学、審美歯科学を専門とする。所属学会は、日本歯科保存学会、日本歯科審美学会、日本デジタル歯科学会、日本臨床歯科学会ほか。

 


歯みがきで出血するなら要注意!
日々のケアを見直して

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写真:Shutterstock

――「口臭」もまた、多くの方が抱えるお口悩みの一つですが、口臭の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?

「口臭の原因の90%以上が、口の中の汚れ、また口の中の炎症や病気です。体内で代謝が正常に行われずに起こる糖尿病や、消化器系の疾患なども口臭の原因になることはありますが、多くは口の中に原因があります。特に歯こう、そして歯こうが硬化した歯石を放置することで起こる『歯肉炎』や、炎症がさらに悪化して、深刻化すれば歯ぐきや歯の骨が溶けてしまう『歯周病』は口臭の一番大きな原因です

――40〜50代の歯周病率は高いのでしょうか?

日本人の成人の80%以上が歯周病だと言われています。ということは、40〜50代女性の多くも歯周病を持っている、もしくは予備軍と思って間違いはないでしょう。ただし、この年代には重度の症状の人は多くありません。

まずは自分が歯周病・予備軍であるかを日々の歯みがきでチェックしてみましょう。歯みがきの際、歯ぐきから出血していたら一度歯医者さんで確認してもらったほうがいいです。健康な歯ぐきの状態であれば出血はしません。

私が直接お話しする患者さんの多くも、出血してしまった原因を、歯みがきの際のブラシの圧だと思っていらっしゃるんですが、そういった時のほとんどが、歯ぐきを傷つけたからではなく、そもそも歯ぐきに炎症があって、その内側から出血しています。たまに『歯ぐきを傷つけたから歯みがきをしなかった』とおっしゃる患者さんもいるんですけど、それだとますます悪化してしまいます! 出血している部位がわかれば、そこはむしろ丁寧にみがきましょう。どこから出血しているのか、というのを自分できちんと把握しておくと歯医者さんにも話しやすいですし、ケアもしやすいです。病院では、歯のまわりの組織が健康なのか調べてもらうことが可能です。歯周病であればそのまま治療をしてくださいね」

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イラスト:Shutterstock

――歯みがきで気をつけるべきことはありますか?

「歯みがきをしていても、汚れや歯こうが残りやすい、つきやすい場所というのがあります。それが、①歯と歯の間、②歯と歯ぐきの境目、③奥歯の食べものを噛むときに使う面の溝、です。この3カ所は特に意識してみがきましょう。力加減は、歯の面に歯ブラシをまっ直ぐに当てた時、毛先が寝ない程度。歯間ブラシやフロスを併用するとベストです。

1回の歯みがきにかける時間も目安になります。丁寧にみがけば3分はかかると報告されていますが、私の体感で言えば、歯間ブラシやフロスの時間まで入れるのであれば、5分は必要です。

ちなみに、歯間ブラシが歯と歯の間に入らないのであれば、無理に入れると歯ぐきを傷つけ、歯ぐきが下がる原因になるので、フロスを使いましょう。奥歯は歯間ブラシ、前歯はフロスと使い分けるのもいいと思います」