交渉が得意という人もいれば、自分の意見を伝えられず押し切られ、いつのまにか相手の言い分をのんでしまうという人もいると思います。自分はどちらかというと「気弱だ」「口下手だ」と自覚する人ほど、交渉ごとに対する苦手意識は強いかもしれません。書籍『心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術』は、そんな人にうってつけの1冊です。
著者は、弁護士であり、心理カウンセラーの資格も持つ保坂康介さん。実は意外なことに、保坂さん自身も口下手で、かつては交渉が苦手だったそう。でも、「交渉相手の話を聴く」ことと、「自分の内面を整える」の2つを実践してから、苦手意識はすっかりなくなったそうです。そんな保坂さんが教えてくれる、気弱さん・口下手さんの交渉術の極意とは!? 今回は、仕事でもプライベートでも役に立つ伝え方「Iメッセージ」について、本書から特別に一部抜粋してご紹介します。
自分の感じた感情を「Iメッセージ」で伝えよう
ビジネス上でも家庭内でも友人間でも、相手に「何でそんなことするんだよ」とか、「こうしてくれたらいいのに」「もっとこうしてほしかった」と思うこと、ありますよね。例えば、ビジネスでのシーン。
上司や先輩が部下・後輩に対して「何でそんな毎回遅刻してくるんだよ」とか「オフィスに入ってきたときぐらい挨拶しようよ」などと心の中で思うときがあると思います。でも、そんなとき、その部下や後輩に対して直接・間接に「何で毎回遅刻してくるんだよ」とか、「挨拶くらいしようよ」って伝えたらどうでしょう。
部下・後輩としても何かこう、攻撃をされているように受け取ってしまい、無駄に言い返してきたり、むっとされたりしないでしょうか?
それでお互いに感情的になり、ケンカ状態になってしまうのです。お互いが傷つくだけですし、関係が悪化してしまいます。
次に家族やパートナー間でのシーン。
猛暑の中、散歩に行こうとする夫に対して妻が「あなた何考えてるのよ! こんな暑い中散歩に行ったら熱中症で倒れるに決まってるでしょ!」と言ったとします。夫は、暑いことは暑いけど水分補給をすれば大丈夫と思っているかもしれません。
そんなとき、「何考えているのよ!」と強く妻に言われてしまうと、自分のことを否定されたように受け取ってしまい、「俺が行きたいから行くんだ! 邪魔するな!」などと激高してケンカが勃発してしまう可能性が高まります。
こんなときは、先の2つの例のように相手のことを責めるような言い方をするのではなく、それによって自分の感情がどうなるのかを伝える「I(アイ)メッセージ」を使いましょう。
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