「あなたはとてもプロフェッショナルです」に、あいたたた!


ペルーでのスリーデイズはとにかくペルー料理を食べるのが私の仕事。大正漢方胃腸薬をチェイサーにして食べる食べる食べる。ペルーの方々にお話を聞いて、街を散策して、たまに世界遺産で踊ってみれば様子のおかしいアジア人がいると取り囲まれ、誰かわからへんけどとりあえず写真撮っとこかと人が殺到。私と! 次は私と! その次はどうか私と! という懇願の絶叫に応えてばしゃばしゃと写真を撮っていたら、いつの間にか「どうやらあいつにはご利益があるみたいだ」との見解に至ったようで、赤子とか抱かされ始め、地でディズニーシーの雰囲気を醸し出す美しい世界遺産アルマス広場でパニックを巻き起こし、「守り甲斐なくてすみません。ホイットニーでもないのに」と申し訳ない気持ちでボディーガードのエドさんに守っていただき、全然ロマンティックではないエンダーを奏でながら退避したりしていました。

「そんなわけないやろ」と思っても、人生は予想外のミルフィーユ。5年ぶりの海外渡航はまさかのペルー【坂口涼太郎エッセイ】_img0
写真:坂口涼太郎さん提供

エドさんは元々ペルーの警察で大将という役職に就いていらっしゃった方で、たぶん部下が何百人もいたようなものすごく威厳のあるお立場だったと思うのだけれど、ちょっとでも何か私が困ったり、何かを探すような素振りを見せると「大丈夫ですか? 何か必要ですか?」と必ず気づいてくれ、お水を持ってきてくれたり、ゴミを預かって捨ててくれたり、必要なものを瞬間移動ができるとしか考えられないような速さで買ってきてくれたり、ついにはお買い物の値引きの交渉までしてくれて、気がつけば「もはやこれはカツアゲの域なのでは?」と思うほどの割引がされていたりして、今までホスピタリティーにおいてのナンバーワン、クイーンオブホスピタリティーは私のおばあちゃんなのだけれど、正直私がおばあちゃん以外にこの世界で出会った人の中でトップオブホスピタリティーの持ち主だったエドさんは私の中でキングオブホスピタリティーを受賞。「お・も・て・な・し」なんてエドさんの前では太刀打ちできないほど親切ですてきな方だった。

「そんなわけないやろ」と思っても、人生は予想外のミルフィーユ。5年ぶりの海外渡航はまさかのペルー【坂口涼太郎エッセイ】_img1
写真:坂口涼太郎さん提供

そんなエドさんと砂漠で二人きりになったとき。エドさんがスマホに向かってスペイン語を話しているなと思ったら、ふとスマホの画面を私に見せてきて、何かと思って文字を見たらそこにはGoogleで翻訳された日本語で「あなたはとてもプロフェッショナルです」と書いていて、それを見た瞬間「Tú también(あなたもですよ)! ていうかあなたがですよ! エドさんこそMuchasプロフェッショナルよ! Bravoよ! むっちゃ gracias!」と砂漠の真ん中で絶叫した声はエドさん以外どこにもぶつかることなく風に溶けて消えていきました。
小説風に詩的に書いている場合ではなくて、私はその言葉を見たときに、あいたたた! と急所を突かれていたたまれない気持ちになり、自分が恥ずかしくて砂漠の砂になってしまいたかったほど、ここ数日の自分のプロフェッショナルじゃなさに辟易していた。

〈後半に続く……〉
 

 


<INFORMATION>
坂口涼太郎さん出演
『ACMA:GAME アクマゲーム』
毎週日曜よる10時30分 日本テレビ系で放送中

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日本有数の総合商社・織田グループの御曹司だった織田照朝は、13年前、父・清司を正体不明の男に殺され、全てを失った。犯人の目的は、清司が持っていた1本の古びた鍵……。その鍵を手に入れた者は、集めた鍵の数だけ運気が上がり、99本集めると、この世の全てを手にすることができるといわれる「悪魔の鍵」だ。
殺される直前の父から「悪魔の鍵」を託された照朝は、海外に脱出。以来、世界中を渡り歩いて「悪魔の鍵」の秘密を追っていた。そして──父の無念を晴らすため13年ぶりに日本に戻って来た照朝は、「悪魔の鍵」を狙うライバルたちとの命懸けの頭脳バトル「アクマゲーム」に巻き込まれていく……!
人知を超えた悪魔の力がいざなう、命を賭けた頭脳×心理戦!果たして父を殺した男の正体は!? 負けたら最期…極限の遊戯(デスゲーム)が始まる!!


文・スタイリング/坂口涼太郎
撮影/田上浩一
ヘア&メイク/齊藤琴絵
協力/ヒオカ
構成/坂口彩

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