脳を若返らせるキーワードは「新奇体験」

スマホの使い方「わからない」…が若返りの秘訣!シニアの「退屈ボケ」にデジタルストレスが効く理由_img0
写真:Shutterstock

刺激のない退屈な生活を送っていると、脳が老いてしまいます。家にこもり、同じようなテレビ番組を見てばかりの生活を送っているシニアの脳は、加速度的に衰えていきます。

逆に言うと、刺激を与えれば、脳は若返り、元気になるということでもあります。そのために覚えておいていただきたいキーワードは「新奇体験」です。経験したことのない、新しい体験をすることは、脳に強烈な刺激を与えます

 

脳はとても消費カロリーが大きい、燃費の悪い臓器です。しかし人体はよくできていて、普段の脳を「省エネモード」にすることで、カロリーの節約をはかっています。

脳の省エネモードのことを「デフォルト・モード・ネットワーク(Default Mode Network:DMN)」と呼びます。このDMN状態の脳は、寝ているときのようにスイッチがオフになっているわけではありませんが、フル稼働でもありません。ちょうど自動車のアイドリング状態のように、いつでも走りだせる状態にして待機しているイメージです。あるいは、この本のテーマであるデジタルにたとえると、パソコンのスリープ状態と言うべきでしょうか。

いつもと変わらない日常を送っているときの脳はDMN状態になっています。

私の場合、いつものコンビニでコーヒーを買い、病院に出勤して着替え、診察の準備をし……という日常的な行為をしているときの脳は、DMN状態です。いずれも私にとってはまったく新奇性がない体験ですから、脳はアイドリング状態でも問題ないということです。

しかし、ずっとDMN状態が続くと、脳は衰えていきます。アイドリングばかりでまったく走らない車がさび付いていくのと同じです。たまにはエンジンを回し、走り回らなければいけません。