スタジオでは毎日レッスンクラスやお稽古、練習があるため、日中は誰かがいます。猫たちの世話については、講師やスタッフで当番を決めてごはんや水を用意し、トイレを掃除するようにしていますが、誰が何をしたかがわかるように「グリグラノート」を作って情報を共有することが欠かせません。

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当番の人が記入する「グリグラノート」

グリとグラはフラメンコ教室の看板猫ではありますが、正直なところ、運動神経がいいとは言い難いです。実は先代のグリもそうでした。フラメンコは、もしプロになるのであれば運動神経は必須ですが、趣味で楽しまれるのでしたら、運動神経よりもむしろ持続力が大事。踊れるようになるまでそれなりに練習や時間が必要なので、諦めずにコツコツやれるかが鍵になります。うちのスタジオには30年以上通っている生徒さんたちがいて、最高齢は77歳。猫好きな人が多いので、スタジオに再び看板猫が暮らすようになり、みなさんよろこんでくださっています。

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生徒さんをお出迎えする看板猫・グリ

私も自宅で猫を飼っていますが、猫好きや猫を飼っているフラメンコのダンサーは多いように思います。猫のツンデレなところといいますか、キリッとしている時もあれば、フレンドリーな時もある、多面的なところはフラメンコと似ているといえるかもしれません。

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仲良くごはんを食べるグリ(写真右)とグラ

10歳になって突然、フラメンコスタジオで暮らすことになった彼女たちは、シニア猫だからこそ、落ち着きがあって、ここで穏やかに暮らせているのではないかと思っています。若くてやんちゃな盛りでしたらところ構わず走り回るでしょうし、もしかしたらスタジオを飛び出してしまうことがあるかもしれませんが、彼女たちにそんなことはありません。シニアになり、看板猫に就任するのに適するタイミングが来たから、うちのスタジオに“就職”してくれたのではないかと思うのです。

私もそれなりに年齢を重ねてきたため、彼女たちや家にいる猫より、私が先にいってしまうかもしれない不安はあります。それに、今までもたくさんの犬や猫たちを見送ってきたので、やはりお別れのことを考えるととても辛いものです。でも、生きとし生けるものは、いつかは死ぬ。お見送りは必要なことであり、ご縁あってここに来てくれたのですから、最期まできちんと見送る。そういう循環は自然なことだと思うのです。

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この日は珍しく、2匹そろって講師をお見送り。

グリとグラがスタジオの看板猫になって1年が過ぎました。みんなに愛されている彼女たちを見ていると幸せな気持ちになれます。ぜひ看板猫たちに会いに来てください!
 

 

文・編集/吉川明子
 

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