美肌菌を活かす正しいスキンケアを教えてください

「洗顔料を使うのは1日1回でいいって本当?」―皮膚科学専門医「はい」。美肌のために知っておきたい大事な「美肌菌」との付き合い方_img0
イラスト:Shutterstock

――常在菌と生まれてから死ぬまで、一生つきあっていくということがよくわかりました。美肌菌を活かすには、どのようなスキンケアをすべきなのでしょうか。

出来尾:洗顔のしすぎや化粧品の化学成分によって美肌菌を減らさないことが大切です。
 

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ポイントは3つ
・洗顔料を使うのは1日1回
・こすらずひたひた洗う
・何回も洗わない
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たくさんの泡を作り、押すように洗顔することが大事。写真:Shutterstock

――洗顔の仕方が美肌菌を守ることになるのですか。

出来尾:美肌菌は洗顔すると1/3に減り、8〜10時間で元の数に戻ります。1日2回洗顔料を使うとせっかく増えた美肌菌をまた洗い流してしまいます。ただし、朝晩2回、洗顔料を使ったほうがいい場合もあります。鼻やあご下に赤みがある方はマラセチア菌が増えすぎているし、ニキビが出来ている人はアクネ菌が増えすぎているのでその箇所だけは朝と夜の2回洗顔料を使って洗ったほうが良いです。

 

――ダブル洗顔不要のクレンジングであっても、汚れが取りきれていないと心配になりダブル洗顔してしまいますが、美肌菌をさらに失うことになるのでしょうか。

出来尾:ダブル洗顔後の美肌菌を調べた研究結果がないので何ともいえませんが、石鹸や洗顔料(界面活性剤を使ったもの)での洗顔だけで1/3減るのでさらに減る可能性が高いです。

――朝は睡眠中の汗や皮脂が出ますし、夜もクレンジングで落としきれなかったメイクが酸化するのでお湯だけの洗顔はとても不安です。

出来尾:就寝中にでた汗や皮脂は常在菌のエサとなるので洗顔料でごっそり取ってしまうことのはむしろ避けたいところです。また、顔に残ったメイクが酸化することはありません。化粧品は開封後日々酸素に触れながら何ヵ月も置いてありますよね。それが肌に置いたとたん酸化するということはありえないですし、多少肌の上に残っていてもターンオーバーで自然に取れるので大丈夫ですよ。

――キュッキュッという感覚が得られるような洗顔というのは肌に良くないのですね。一体どこまで洗えばいいのか、わからなくなりました。

出来尾:顔の皮膚は全身の中で最も保湿力が高いところです。洗顔後に洗って乾燥した感覚があるならそれはかなり洗いすぎということ。顔はコップやお皿と違って洗えば洗うほど綺麗になるというわけではありません。

洗うとまず角質の表面の汚れが取れます。さらに洗うと角質が取れます。もっと洗うと垢の形で表皮の細胞が取れます。そんな風にどこまでも洗うとどこまでも垢が取れて最後には擦りむけてしまいます……。最初はスッキリしないと思いますが、表面の汚れを優しく洗うだけの洗顔方法を続ければ自然なうるおいを保った肌に生まれ変わるはずです。

――適当に洗顔しているだけの男性の肌のほうが綺麗、ということ、そういえばよくありますね。洗顔料が顔に残っているのがよくないとも聞きますがたくさんすすぐのもダメでしょうか。

出来尾:すすぎは何回やっても大丈夫ですよ。すすぎの水が肌を痛めることはありません。

――その他、美肌菌を育てるためにできることを教えてください。

出来尾:界面活性剤や防腐剤の入っていない化粧品を使うこと、あとは美肌菌を保つ入浴法ですね。40℃〜43℃のお湯は血流を上げるためには良いのですが、美肌菌には高温すぎます。

美肌菌を育てるための入浴法・体温より少し温かい37℃〜39℃のぬるめのお湯で15分ほど入浴
・髪、体の順番で洗う
・お風呂から出たら軽い運動で汗をかいて美肌菌のエサを増やす(タオルで軽く拭き取ってから就寝) 

美肌菌の不思議な世界、いかがだったでしょうか。ゆりかごから墓場までずっと共生する生き物がいて、守ってくれているのですね。丁寧なクレンジングや洗顔が逆に肌にダメージだったということが衝撃的でした。美肌菌を活かすスキンケアは化粧品を大胆に変える必要があるのですぐに対応するのは難しいと思いますが、存在を認識することで今後の肌への考え方が変わりそうですね。

参考文献:出来尾格著「美肌菌きれい研究ブック」(ニュートリエントライブラリー)


取材・文/中田ゆき
編集/國見香
 

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