浩宮さまが天皇に即位、チャールズ皇太子が再来日
やがて2019年5月には浩宮さまが第126代天皇に即位されました。10月に行われた「即位礼正殿の儀」に参列するため、チャールズ皇太子が再び来日されました。
天皇陛下と雅子さまは、エリザベス女王の招待で、2020年春にイギリスにご訪問される予定でした。それは令和の時代になって初めての公式外国訪問となるはずでしたが、コロナ禍のために保留になってしまったのです。
陛下と雅子さまがロンドンでエリザベス女王の葬儀に参列
2022年9月、エリザベス女王が96歳で亡くなりました。70年以上におよぶ在位の間、日本の皇室とは深い絆を結ばれていたのです。こうした元首の葬儀に天皇陛下が参列することは極めて稀ですが、天皇陛下と雅子さまのご意向を踏まえ、政府の閣議決定を経てお二人が葬儀に参列されることになったのです。2020年春に女王からの招待にお応えできなかったこともあり、直接お別れをお伝えしたいという思いもおありだったのでしょう。
翌2023年5月には、秋篠宮さまと紀子さまご夫妻が、英国の招待によりチャールズ国王の戴冠式に参列されました。
このような深い縁のもと、6月22日から天皇陛下と雅子さまは、エリザベス女王との約束を果たすべく、イギリスに公式訪問されています。このスケジュールの最後には、お二人がかつて留学されていたオックスフォード大学への再訪も予定されています。オックスフォード大学は、きっと以前と同じたたずまいであたたかくお二人を迎えてくれることでしょう。
皇室がさまざまな外国との交流で担う役割は、利害関係を交渉する外交ではなく、あくまでもお相手の国との友好親善を目的とした交流です。
裕仁親王殿下(のちの昭和天皇)が訪英されたときに父のように接してくれたジョージ5世、明仁親王殿下(今の上皇陛下)をファミリーのようにクイーン席に招いてご一緒にダービーを観戦されたエリザベス女王、民間から皇室に入られた美智子さまに敬意を表したダイアナ妃……。たくさんの友好の物語が紡がれてきました。
そしてまた、天皇陛下と雅子さまのこのたびの訪英によって、ますます両国の友好親善は深まることでしょう。
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参考文献/『裕仁皇太子ヨーロッパ外遊記』『明仁皇太子エリザベス女王戴冠式列席記』(ともに波多野勝著、草思社)、『テムズとともに――英国の二年間』(徳仁親王著、紀伊國屋書店)、『昭和天皇のお食事』(板垣信久・小西千鶴共著、旭屋出版)、『天皇家の姫君たち』(渡辺みどり著、文春文庫)、『天皇皇后両陛下の80年 信頼の絆をひろげて』(宮内庁侍従職監修、毎日新聞社)、『新しい時代とともに――天皇皇后両陛下の歩み』(宮内庁侍従職特別協力、毎日新聞社)、宮内庁ホームページ
高木香織(たかぎ・かおり)
出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』、『日めくり31日カレンダー 永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へー』(講談社ビーシー/講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。
キャプションは過去の資料をあたり、敬称・名称・地名・施設名・大会名・催し物名など、その当時のものを使用しています。
バナー写真/JMPA
構成・文/高木香織
編集/立原由華里
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