【天皇、皇后両陛下、31回目の結婚記念日】雅子さまが「饗宴の儀」でお召しになった、全6着の華麗なドレスと着物に秘められた物語_img0
1993年6月9日、結婚の儀を終え、宮殿からパレードへ。写真/JMPA

31年前の1993年6月9日、天皇陛下と雅子さまはご成婚されました。前夜からの豪雨が奇跡のようにあがり、やさしい日差しのなかを華やかなパレードが行われたのです。白いバラの花びらのようなドレスに身を包んだ雅子さまの美しさに、国民は魅了されました。数日後の6月15日からは、3日間の昼夜にわたり、一般の披露宴にあたる「饗宴の儀」が行われました。午餐会と晩餐会は、全部で6回にもおよび、雅子さまはすべて違う装いでお出ましになったのです。雅子さまのご成婚にともなう、その華やかなお着物やドレスの物語を振り返りましょう。
 

 


「饗宴の儀」を華やかに彩った午餐会のローブ・モンタント


6月9日のご結婚のあとも、行事はまだまだ続きます。
6月15日からは宮殿において、3日間に渡って「皇太子結婚式 饗宴の儀」が計6回行われました。

宮中饗宴の儀とは、ご即位、立太子、ご結婚などを披露され、祝福を受けられる祝宴のこと。結婚式の饗宴の儀は、一般の披露宴にあたります。

雅子さまはそのすべてに、異なる装いでお出ましになったのです。

昼間行われる午餐会では、ローブ・モンタントをお召しになりました。モンタントはフランス語で「高まる、立った」を意味し、基本的には襟が立ち上がり、長袖で肌の露出を控えた昼間の最上正礼装です。最近では、ラウンドネックラインのデザインも増えています。

第1日の午餐会、雅子さまは森英恵さんデザインによるオレンジ色のローブ・モンタントをお召しになりました。

ウエストから足元にかけての大きなドレープが優美なドレスです。ターバンを巻いたような帽子とドレスのデザインが、オリエンタルな雰囲気を感じさせる魅力的な装いでした。

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お二人のご結婚を祝う宮中饗宴の儀に出席するため、東宮仮御所を出発される皇太子ご夫妻。雅子さまは森英恵デザインのオレンジ色のローブモンタントをお召しに。ウエストの大きなリボン&ドレープがアクセントになっています。ワンハンドルのゴールドのバッグ、そしてドレスと同系色の帽子をコーディネートされて。1993年6月15日、東京都港区・東宮仮御所にて。写真/毎日新聞社/アフロ
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宮中饗宴の儀にて楽しそうにお話されるお二人。写真/宮内庁提供

第2日の午餐会でお召しになったのは、やさしい青空のようなローブ・モンタントです。「納采の儀」で贈られた絹地の巻物5巻のうちのひとつ、「やまなみ」を用いてつくられました。

デザイナーは、芦田淳さん。皇太子浩宮さま(今の天皇陛下)が登山好きということから、山をイメージしたという袖山のデザインが個性的な美しいドレスです。

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第2日の午餐会。山をイメージしたというデザインの、青空のような色のドレスをお召しです。写真/宮内庁提供

第3日の午餐会の装いは、それまでと雰囲気を変えた愛らしいドレス。
こちらは「納采の儀」で贈られた絹地の巻物「楽興の時」でつくられました。

シューベルト作曲の「楽興の時」をイメージして織られた絹地といいます。淡いピンク色のローブ・モンタントの首元はハート型にカットされ、胸元にきらりと揺れるネックレスと可憐なヘッドドレスが初々しさを感じさせます。伊藤すま子さんのデザインでした。

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第3日の午餐会。愛らしいピンク色のローブ・モンタントが初々しい装いです。写真/宮内庁提供

この、「楽興の時」のドレス地には、美智子さまが皇居内の紅葉山の養蚕所で紡がれた絹糸が一部に織り込まれていました。

養蚕をはじめられたのは、明治天皇の皇后、昭憲皇太后です。以後、大正、昭和、平成にわたって歴代の皇后が絹の文化を継承されてきました。

そして今、雅子さまが養蚕の仕事を受け継がれているのです。

 
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