合格が意味するもの
正直言って、そこまで深く考えずに、記念受験することを決めた学校。入学考査のために特殊すぎる対策は必要ないというネットの言葉にも勇気づけられた。
――あとから思えば、それはテストだけでは測れない学校だ、という意味だった。受かるはずがないので、私はほとんど志望校であることを忘れるほど。本命の2校と、おそらく大丈夫と思われた学校の対策に明け暮れた。うまくいけばこれで高校までエスカレーター。合格の判定は3校ともよくて50%。記念受験の学校に至っては30%ほど。
OK、ダメでも公立に行けばいい。幸い準備期間は2年弱。生まれたときから対策をしているひともいる超難関有名校志望のお母さんたちに比べれば、我が家なんて小学校受験のコスプレみたいなものだ。
そんなふうに私なりに腹を括って挑んだ。果たして、受験の神様が書く筋書きというものがあるならば、我が家は非常にトリッキーな展開が用意されていた。
梨々花はなんと、本命にしていた新進校はみっつとも不合格、前の月にお教室の本命対策でやったことがドンピシャで出た記念受験の伝統校のみ合格。
かくして公立か、その敷居の高い学校か、という選択を迫られた我が家。
「この業界長いですが、あの学校にご縁を頂いて、辞退して公立に行くというご家庭はないと断言できます」という先生の勢いを肌で感じ、運命に身を任せるつもりでバカ高い入学金を振り込んだ。
お教室に御礼に伺った日、高々と掲げられた「〇〇小学校合格者3名!」という張り紙を見て、私の気分が高揚しなかったと言ったらウソになる。
きっと苦労する。そうわかっていても、人には抗えない流れというものが確かにあった。
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