不登校&ひきこもりの入口は、引っ越しと父の“水虫”!?


ふみさんの人生が最初に“暗転”したのは、小学校1年生の中期くらいのこと。生まれ育った神奈川県川崎市から千葉県市原市への引っ越しがきっかけでした。それまでは臆病ながらも友だちができ、楽しく学校生活を送っていましたが、恥ずかしがり屋の内弁慶な性格である彼女は、環境の変化にうまく対応できませんでした。

「学校生活ではまず、登校初日に教室に入ることから渋り、先生に無理やり皆の前に引きずり出され、まともな自己紹介もできず泣き出す、という既視感のある人見知りのフルコンボを発動してしまったのだ。時期外れの転校生に浮足立っていたであろうクラスメートたちをがっかりさせてしまったのを肌で感じた私は、さらに落ち込むという悪循環」

生活環境の変化は心が繊細なふみさんにとってかなりのダメージがあったようで、バスを1本逃すと長く待たなければならない、といった大したことなさそうな変化でも彼女の心を蝕んでいきました。

さらに追い打ちをかけるように、ふみさんの心を闇の方へと追いやる出来事が起こります。それはとても意外なところからやってきました。

「父が水虫になったことからだと思われる。なんだ、そんなこと、と言われそうだが、これは真剣な話なのだ」

父の“水虫”が引き金に!?40年間無職の女性が語った「ひきこもり」の実態とは?_img0
写真:Shutterstock


不登校&ひきこもりの入口は、引っ越しと父の“水虫”!?


父親の水虫が汚らしく、恐ろしく感じられたふみさんは、「父と同じバスマットは使わないようにしよう」「なるべく素足でいないようにしよう」「足もよく洗うようにしよう」という強迫観念に駆られてしまいます。

 

その強迫観念はさらに対象範囲を広げ、「ノートをとるのにも完璧な文字で書かなくては」などと思うようになり、小学4年生あたりから不登校の日が増えていきました。そこからふみさんは明確に、ひきこもりのループへと入り込んでいきました。

「休みがちになると、当然のようにクラスメートにそれを指摘され、ますます学校への足が遠のいて、いわゆる『居場所』というものもどんどんなくなっていき、やがて定番の本格的な『いじめ』というやつを経験することになる。少しずつ距離を置かれるところから始まり、徐々に陰口が囁かれ、ついにはあからさまに嫌悪の表情で悪口を言われ、馬鹿にされた。そして、お定まりの『死にたい』がやってくることとなる。だが、それの原因が『いじめ』によるものなのか、その頃からもうすでに私が狂い始めていたからなのか、は定かではない」