初めての彼氏はスリランカ人。恋愛感情ゼロからのスタート

小学校高学年から不登校を続けたふみさんは、高校には進学しないまま中学校を卒業します。そこで彼女は完全な「無職」となりますが、だからといって完全に家にひきこもっていたわけではなく、ミュージシャンの追っかけをするなど、好きなことに対しては自発的に外に出ていきました。

また、「友だちがいない」ことに大きなコンプレックスを抱えていた彼女ですが、お気に入りの雑貨屋の店員にお願いして友だちづきあいを始めたり、30歳を超えて入学した定時制高校で何でも話せる女友だちをつくったりと、自分のできる範囲で人間関係を構築していきました。

実は異性とのお付き合いもしっかり経験しています。初恋こそほろ苦い片想いで終わりましたが、その後、恋人と呼べる存在が現れます。その人は近所に住むスリランカ人男性で、ホームセンターで声を掛けられたのが最初の出会いでした。ところが、彼に対し恋愛感情はなかったようで、最初に交際を申し込まれたときは断ってしまいます。

「人に好意を寄せられるというのは悪い気はしないが、タイプではなかったのだ。でも彼は、何度断ってもゾンビのようにまた告白をしてくる。何日経ってもあきらめないその姿勢に疲れた私は、『まぁ、いっか。私のことをこんなに好きと言ってくれる人もそうそういないし』と思い、お付き合いをすることになった」

父の“水虫”が引き金に!?40年間無職の女性が語った「ひきこもり」の実態とは?_img0
写真:Shutterstock


「初めてのセックスは好きな人がいい」の意味を知った29歳の初体験

初めての彼氏がスリランカ人というのが「なんだか面白い」という理由から付き合い始めることにしたふみさんでしたが、恋人との付き合いは「面白い」だけで続けられるほど甘い世界ではないことを思い知ります。

「人と付き合う、というのは案外、面倒くさいことだというのを、のちのちになって知る。それに、お気づきの方もいらっしゃるだろうが、『気がつけば29年間、処女だった。』という問題も……」

大人同士のお付き合いですから、体の関係も求められるでしょう。経験のない彼女はこの問題を乗り越えられるか不安があったようですが、意外にもあっさりとクリアできたようです。

 

「当然のように体を求められた。まぁ、特になんの感慨もなく、あっさり処女を失ったわけだが、『めっちゃくちゃ痛かった』というのだけは言っておきたい。しかも、慣れるまで何回も痛かった。初めてセックスする相手は好きな人がいいとよく言うが、あれは、『あんな痛みは好きな人相手じゃないと耐えられないから』という意味じゃないかと思う。私は憤慨しながら耐えていたのだ」

好きでもない男との痛みしかないセックスに耐える……何一つ良いことがないようにも見えますが、どうやらそうでもなかったようです。

「『大好きだよ』などと他人に真っ直ぐに言われるのは、生まれて初めてで、自己肯定感が高まるようなうれしさがあった」

加えて、デートのときは車で家まで迎えに来てくれて、プランを考えてくれて、デート代も全額おごってくれる。「総じて、『女の子扱い』をされるのも嫌じゃなかったなぁと思う」と、彼女は淡々と当時を振り返っています。