逃げることは“悪”ではない
今いる場所で心から笑顔になれない。自分を追い込んでしまうときがある。
もしあなたがそのような状態だとしたら、無理に立ち向かおうとしなくていい。その場所からいったん離れるという選択肢を自分の中にもっておきましょう。
逃げることはとても大切なことです。
そのような生き方を教えてくれたのは、ノートルダム清心学園の創立者ジュリー・ビリアートです。ジュリーは、フランス革命期にパリ郊外で生まれました。姉弟は体が不自由でしたが、ジュリーだけは元気で幼い頃から信仰があつい女性でした。
大地主だったビリアート家は、家業の小売店が盗難の被害に遭い、次第に生活が苦しくなっていきます。そしてジュリーが23歳の頃、家に石が投げ込まれ、銃撃を受けてしまいます。この出来事がトラウマとなり、ジュリーは体が麻痺し、50歳を過ぎるまで寝たきりで過ごすことになりました。
しかし、その状況下でも女子教育への情熱を燃やし続け、仲間や支援者の助けを得て、修道会とともに学校を設立するのです。
「いかによき神のよきかな」
ジュリーが創立したノートルダム清心学園は現在5大陸に広がり、世界に約120校の姉妹校があります。
ジュリーが生きた時代は、まさに激動期。フランス革命で起きた聖職者内の分裂の影響を受け、ジュリーの革新的な活動は教会から迫害されてしまいます。当時は女性差別も激しく、歩けないジュリーは台車に積んだ干し草の中に隠れて命がけで逃げ惑いました。
そしてついに彼女はフランスを出ることを決意。ベルギーへと逃れました。そこで今に続くいしずえを築くのです。
50代を過ぎて奇跡的に立てるようになったものの、ジュリーの人生は困難そのものでした。しかし彼女はこんな言葉を残しています。
「いかによき神のよきかな」
わかりやすくいえば、「神様はよいお方」という意味です。
不自由な体で迫害を受け続けたジュリーは、どんな思いでそういったのでしょう。
私は、「どんなことがあっても、いいことが起きる」という意味だととらえています。
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