「解像度の高い人」は、「形のない、見えないもの」を理解させることができる

「仕事ができる人」に備わる3つの特徴とは?思考の「解像度」を上げられるかどうかがカギ_img0
 

つまり、何が言いたいのかと言えば──「人生も同じ。鐘が鳴る前には、報われない時間が必ずある。自分にももちろんそんな時期があった。しかし、それは失敗ではない。世の中のタイミングと自分の中のタイミングがぴたりと重なる瞬間は必ずくる。報われない時間を過ごしているときには、自分は今、“人生の11時台”を迎えているのだと考えてほしい」という意味を込めた、西野さんからの卒業生へのメッセージだったわけです。

「人生(には報われない時間がある)」という言葉は、まさしく「多くの人には見えないもの」です。なぜなら、「形がないから」です。そして、このとき、話している相手は「大学生」でした。もちろん、優秀な方々であるとはいえ、「形のない、見えないもの」を理解するのは容易ではありません。

おそらく西野さんは、今回の相手(大学生)は「具体的な話」のほうが理解しやすい人たちだと考えたのでしょう。

西野さんの話がうまいのは、「人生」という「形のないもの」を、「時計」という「形のあるもの」にたとえたことです。

そうやって、「多くの人に見えるように」してあげたのです。

おそらく「解像度の高い人」代表である西野さんにとっては、「人生(には報われない時間がある)」ということだけでも、ご自身としてはイメージは湧くし、納得して理解をしているはずです。

しかし、おそらくこれは「具体的なことのほうが理解しやすい人」にとっては、わかるようでいて、イメージが湧きません。この「自分には理解しているもの」をそのまま伝えても相手が理解できないときに、「他の多くの人にも理解できるようにできる」のが、「解像度が高い人」なのです。
 

 


権藤 悠(ごんどう ゆたか)さん
株式会社キーメッセージ代表取締役社長。慶應義塾大学理工学部情報工学科卒業。ベンチャー三田会幹事。ITベンチャー企業にて人事、IT新規事業開発をした後、株式会社ZUUに人事企画マネージャーとして参画し、東証マザーズ(現・東証グロース)市場上場前の採用・組織開発に従事。その後、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社に経営コンサルタントとして入社。大手企業へのDX・組織人事高度化コンサルティング業務に従事し、合計社員数20万人以上の各業界企業を支援。デロイトトーマツ コンサルティングの中でも上位1%の人材しか認定されない「Sランク人材」の評価を受ける。2022年、株式会社キーメッセージを創業。大手企業からスタートアップへ経営コンサルティング、AIやデータ分析を活用した新規事業開発や人的資本経営コンサルティングを提供する。

 

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写真:Shutterstock
構成/さくま健太
 
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