扶養から抜けるからこそ、享受できるメリットもある!
「扶養から抜けて稼ぐようになると、税金や社会保険料で目安として2割程度の負担が発生します。額面20万円なら手取りはおよそ16万円くらい。
え、4万円も引かれるの?と思うかもしれませんが、目先の2割減にとらわれないことが大切。
例えば、扶養ではなく自分で健康保険に入ると、自分が病気で働けなくなった時に傷病手当金がもらえます。また、雇用保険にも入ることになりますが、これがミドル世代にはいい。何がいいかというと、介護休暇を取った時に、給与の3分の2程度受給することができます。
パートや契約社員でも、月20時間以上、もしくは月8.8万円以上働けば、社会保険に加入することになるため、条件を満たせば、その権利はあります」(合田さん)
介護休暇……!? 産休育休と違って、いつくるかわからないので準備がなかなか難しいと思っていましたが、取れるなら取りたい。あったらありがたい。
しかも、これから自分自身にも何があるかわからない年代に突入します。ミドル世代こそ、こういった保障が必要なのかも。
2割という金額は小さくないですが、社会保険も悪いことばかりじゃない。むしろいいことも多そうです。
「そして、正社員になれる環境にあるなら、なった方がいい。昇給だけではなく、扶養内で年収100万円で働くのと、正社員で年収300万円で働くのと、10年後、20年後にどちらがいいかは歴然。
また、パートは時給制なので、そこまで大きく昇給しませんが、正社員には昇給があります。少子高齢化の影響もあり、今後、年金給付の水準は下がってきます。
幸せに暮らすためには『健康』『心』『体』の3Kが必要だとよくお話するんですが、体が元気でお金を増やせるうちにやっぱり働くことは大事。
人生100年時代と言われるようになりましたが、人の一生を24時間で例えると50歳はまだお昼の12時。まだまだ先は長いですから」(合田さん)
昨年度、合田さんは10回以上「扶養」についてのセミナーで講師をしたそうですが、平日午前中でも定員を大きく超えるほどの応募があったとか。それだけ、みなさん関心が高いジャンルです。
国の制度も変わり、時代も変わる中で、みんな迷うことは同じ。
「扶養内で働くのがお得」という凝り固まった概念から、一度離れて考えてみるタイミングがきているようです。
構成/佐野倫子
イラスト/Semo
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