なくてはならないおだしにも「らめ活」を
そんなジャック・バウアー気分のお涼に革命が起きたのはつい最近のこと。お涼理史に燦然と刻まれるであろう「おだし革命」である。
おだしは私にとってなくてはならないもので、大晦日やお正月はちゃんとしたやり方で一番だし、二番だしをとって、年越しそばやお雑煮や煮物を作るのだけれど、毎日やるのは大変だし、日持ちもそんなにしないから、だしパックを使ってみたり、冷蔵庫で水出しでだしをとってみたりしたけれど、いかんせん風味が物足りなかったり、仕事の現場で食事をすることが数日続けば冷蔵庫のおだしがもうだめになっていたりしてとてももったいないので、もっといいやり方ないかなあ、と思いながらお買い物をしていたら、お味噌汁専用かつおぶしという細かく薄く削られたかつおぶしが大きな袋に入ったものが売られていて、それを見たときに「これだ!」と私は名探偵ホームズかのように閃き、事件解決の糸口を見つけた。
「だし殻も食べちゃえばいいじゃん」
かつおぶしも昆布もおだしをとったらそのまま食べちゃえばいいじゃん! なんで今まで気づかへんかったんやろう! だし殻を取り出して刻んでお醤油とみりんとお酒で炒めてあんまり食べないふりかけにしたりして二次利用とかせずに、もうそのまんま食べちゃえばいいじゃん! えーなんで今までわざわざ取り出してたんやろう! だし殻をそのまま入れておくと風味がどうのこうのとか料理本に書かれてたけど、一人分作って即食べて15分後には食べ終わってるんやからあんまり関係ないやん! 料亭でもあるまいし、私だけのごはんやねんからええやん!
解決策を見出した私は昆布は食べやすい大きさに切ってから1リットルの水を入れたピッチャーに浸したまま冷蔵庫に入れておいて、お味噌汁を作るときに鍋に一杯分の昆布だしを注ぎ、火にかけながらかつおぶしと具材を入れて、お味噌をといて完成。昆布もかつおぶしも具材になって、冷蔵庫になにもないときでもあおさを入れるだけで具材三種で物足りなさ皆無のお味噌汁が完成。あまりにも簡単で、これから家に帰って料理するのかあ、めんどいなあ、と思うことも格段に減り、これにておだし事件解決の運びとなり、「食探偵涼ームズ」ここに爆誕。ベランダからその一部始終を記した号外をばらまきたい気持ちをぐっとこらえて、お味噌汁を「おいしいおいしい」と心の中で唱えながらすする涼ームズなのである。
そんな涼ームズにまた新たな事件解決の依頼が舞い込んだ!
〈後編に続く!〉
<INFORMATION>
坂口涼太郎さん出演
ドラマ「Sunny」
(Apple TV+で配信中)
日本の京都に住む、あるアメリカ人女性の人生が一変。彼女の夫と息子が不可解な飛行機事故で消息不明となってしまう。そして、夫の電子機器会社が製造した新型の家庭用ロボット・サニーと暮らすことになる。
文・スタイリング/坂口涼太郎
撮影/田上浩一
ヘア&メイク/齊藤琴絵
協力/ヒオカ
構成/坂口彩
前回記事「「ええ加減にしいや!」実家暮らし歴30年の私が生活を舐め腐っていた頃の出来事【坂口涼太郎エッセイ】」>>
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