働くこと、子育て、女性として……。“人生の跳び箱”を乗り越えて

行正 ふたりとも、仕事をしながらほぼワンオペに近い感じで子育てをしてたでしょ。子どもたちの年齢も近かったから、同じ時期、ある種の同じ苦しみや悩みを経験して、跳び箱を跳ぶように1つ1つを乗り越えてきた気がします。

【人生の跳び箱をともに乗り越えて】仕事も子育ても“女子”の悩みも分かち合える存在〈ともさかりえ×行正り香対談〉vol.2_img0

ともさか そういうものをシェアできたことは、大きかったですよね。子育てやライフスタイルにおける価値観みたいなものが似ていたとも思う。

行正 そうね、ふたりとも大雑把でありつつ(笑)。

ともさか 真面目に見られるけど、真面目じゃないところも(笑)。

行正 型にはまらない子どもたちのことも、「これもいいんじゃない? 私たちもこんなふうだし、仕方ないよ」と、悩むよりもすぐ諦めたりしてね。

ともさか 何事も、一緒に面白がれたのもよかったんじゃないかな。

行正 おむつを捨て合ったりしながら、仕事の悩みも共有できる。しかも、仕事のキャリアはりえちゃんのほうが先輩。仕事をする人の目線も“女子”の悩みも分かち合える人って、実はそうそういないとも思います。

ともさか オンナ同士って、やっぱりかゆいところに手が届くなって思う。男性が気づかないようなところも女性は気を配ってくれる。り香ちゃんも「そうなの!  こういうことを言ってほしかったの」って言葉をくれるし、手を差し伸べてもくれる。

行正 異性のパートナーや友達ももちろん大切だけど、人生において同性の友達こそ大事だなと私は思うのね。私にとってりえちゃんは、重たい悩みを抱えていたときでも、話せばスッキリして、「そうなんだね……」と聞いてもらうだけで、「また明日、頑張ろう」と思える大きな存在です。

ともさか そう言えば、映画にも連れ出してくれたんだった! 子どもたちが小さな頃は、大人だけの時間って本当にスペシャルなものだったから、私はそういう時間にもすごく救われました。

行正 『ビフォア・サンライズ  恋人までの距離』の3作目、『ビフォア・ミッドナイト』も観に行ったね!

ともさか なつかしい! 『ブルージャスミン』も一緒に観た! 主演のケイト・ブランシェット、大好きなんだよね。

行正 あの作品は衝撃だったわね。りえちゃんのこと、俳優さんとしても尊敬してるんです。いろんな役柄ができるでしょ。「この映画のこの人みたいな役をりえちゃんが演じたら……」と想像しながら、映画を観ることもあるんですよ。

ともさか 嬉しいなあ。キース・ジャレットのジャズのライブにも行ったよね。夢のような時間だった。り香ちゃんとのデートはいつも、ときめいていました。
 

模様替えから大規模リノベーションまで。人生を豊かにする投資


行正 お酒も、一緒に飲んできたわよね。

ともさか 特にワインね(笑)。あと、私たちには好きなものに共通点が多いんだけど、り香ちゃんのお母様の“よしこちゃん”にお会いしたときは、「うちのママみたい」と思ったものでした。仕事をずっと続けてらしたことを含め、自分の母を見てるような気持ちになったの。

行正 最近、そのよしこちゃんからよく言われるのが、「88歳にもなるとね、人が亡くなることがもう日常茶飯事。り香ちゃん、お願いだから、若いお友達を大切にしなさい」ってことなのよ。

ともさか うちの息子なんて、「かあちゃん、り香ちゃんに最近会ってないの?」って聞いてくるよ(笑)。反抗期のときでも、り香ちゃんのお家だけは「俺も行く」ってついてきてたからね。ごはんが食べたくて!

行正 餌付けしたかしら(笑)。やっぱり食べ物って大事ね。

ともさか それに、り香ちゃんは久々に会ったとしても心を許せる何かがあるみたいね。娘さんのかりんちゃん、さくらちゃんとは小さな頃から“裸の付き合い”(笑)をしてきたし。それに、息子は料理が大好きでしょ? 料理をするり香ちゃんのことをずっと見てるような子で、気づけば彼自身がすごく上手になってた。今では私より料理をしてると思う。

行正 とっても上手なのよね。そうだ、息子くんもひとり暮らしを始めたんだっけ?

ともさか そうなの。私、整理整頓が本当に苦手なので、プロの方にお願いして、最初のしつらえだけ整えてはあげたんだけど、それが心地いい家かと言われると……。デンマークに留学中のかりんちゃんの部屋は、り香ちゃんがコーディネートした素敵なインテリアよね。

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行正 学生寮のお部屋ね。今回の本(『人生を変えるリノベーション』)でも紹介しているんだけど、画家・野崎義成さんの一枚の絵をスタートに、キーカラーを決めて、部屋づくりを手伝いました。

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ともさか かりんちゃん自身も、り香ちゃんのもとで“家づくりの英才教育”を受けてきたわけだものね。息子はまだ、日常を整える豊かさ、面白さには気づいてないと思う。今度、絵でも飾ってあげようかな……。

行正 息子くんは、シェフを目指してるのよね。

ともさか そう、彼の興味はとにかく「食」です。

行正 楽しみね! 私たち、食べることが大好きだから。さて、そろそろお夕飯に向けて、ワインのボトル、開けておきましょうか。

ともさか うふふふ。り香ちゃんのお料理、楽しみです!

 

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ともさかりえ/俳優。東京都出身。12歳でデビュー。ドラマ「金田一少年の事件簿」シリーズ(日本テレビ)でブレイク後、映画、舞台、また歌手としてなど、活動の幅を広げる。近作は映画『四月になれば彼女は』など。放映中のドラマ「新宿野戦病院」(フジテレビ)にも出演。ファッションブランド「MY WEAKNESS」のディレクターとしての顔も。
 

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行正り香/ゆきまさりか 料理家・インテリアデザイナー。デンマーク親善大使に選ばれる(2017年)など、北欧のインテリアに造詣が深く、近年はインテリアのコーディネーターやリフォームプランナーとして多数の家作りに携わる。30冊を超える料理レシピ本のほか、家作りに関する著書『行正り香のインテリア』『行正り香の家作り』もロングセラーとなっている。
 


「残りの人生を、どう生きるか」を住まいから考える本

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行正り香『人生を変えるリノベーション』
2024年6月14日発売 
B5判型 オールカラー144ページ

・より広く明るく見える〈家具の配置〉とは?
・どこに影を作るか?〈照明プラン〉の考え方
・〈模様替え〉でも家は変わる
・理想を叶えるための〈予算設計〉の新しい考え方
・家は〈自分の個性〉を加えて完成する

機能とデザインとの両立、居心地のよさにプライオリティを置いた住まいとは? そして、残りの人生をどう生きるか? を住まいから考える本です。

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構成/八幡谷真弓
撮影/嶋田礼奈
ヘアメイク(ともさかさん)/伴まどか
 

 


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