日常で感じる「ちょっとした違和感」について井戸端会議していくこの連載。ウェブマガジン「ミモレ」とその読者コミュニティ〔ミモレ編集室〕に寄せられた皆さんのモヤモヤエピソードをご紹介していきます。
今日ご紹介するのは、趣味とお金についてのモヤモヤエピソードです。
着物に歌舞伎にアートイベント…セレブ都会人になった友人
エピソードをお寄せくださったのは、地方在住のミチさん(45歳・会社員)。
出身県の隣県で、中小企業の会社員として働いています。駅前にちょっとしたファッションビルと車で少し行ったところに大型モールがある、まあよくある地方都市。東京・大阪・京都・神戸・福岡のような大都市の華やかさからは遠く離れた環境です。
最近SNSで繋がった古い友人の投稿を見ていて、東京や京都にいる彼女らの生活の華やかさにびっくり。普通の会社員のはずですが、毎月のように素敵なイベントに出かけていて、まるでインフルエンサーのようです。
年代特有なのか、お着物を着て歌舞伎を見に行ったり、オペラに行ったりフレンチレストランでワインを楽しんだり……。なんだか趣味がゴージャスなんですよね。私と違って大手企業に勤めているし、実家が豊かな人もいるので経済事情が違うのでしょう。
私は独身で養う家族はいませんが、家賃と生活費を差し引いたら趣味につかえるお金はそう多くはありません。図書館で本を借りたり、Netflixを観たりするくらいが身分相応だと思っています。地方ではイベントもそう多くはありませんし、美術館や博物館も一応ありますが正直行ったことはありません。
でも、最近なんだか自分の生活がすごく寂しい気がして。
私はこのまま会社と家を往復するだけの人生なのか? もっと豊かで幸せな人生にはならないのか? 私ももっと週末を楽しみたい……。でも高収入な転職先なんて夢のまた夢ですし、実際自分が何をしたいのかもわかりません。
人は誰でも、自分のことはよく見えない
都会で暮らすご友人と、地方で暮らす自分。その違いを感じてモヤモヤされているんですね。「あの人はなんであんなに楽しそうなんだろう」「それに比べて私は…」そう感じてしまうのは、立場を問わず多くの人に経験があることだと思います。「自分の生活が寂しく感じる」というミチさんの気持ち、とてもよく分かります。
人は誰しも、ないものねだりしてしまいがち。でもきっと、ご友人たちには彼女たちなりの悩みや葛藤があるはずです。ストレスを消費にぶつけていたり、苦しみをごまかすために華やかな場所に足を運んでいたりするような背景があるのかもしれませんよね。もしかしたら、浪費がやめられずに、童話の「アリとキリギリス」に出てくるキリギリスになったような不安を持っている人もいるかも。趣味のお金を捻出するために家計を上手くやりくりしたり、あるいは仕事で並々ならぬ努力をしている可能性もあります。
一方、ミチさんはどうでしょう。誘惑が少なく、地元にも近い土地に住んで、堅実に日々を送っていますよね。自分にちょうどいい生活スタイルをよく分かっていて、無駄に浪費したり羽目を外したりしない。とても聡明で、地に足ついた生き方だと思います。都会で暮らす人からすると、ミチさんを羨ましいと感じることもあると思いますよ。
自分の良さ、自分の人生の素晴らしさって、自分ではよく分からないものなのかもしれないですね。
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