メイクやスキンケア用品を扱う化粧品ブランドOSAJI(オサジ)では、ほぼ全店に「UBA -Universal Beauty Adviser」(ユニバーサル・ビューティー・アドバイザー)の資格を持ったスタッフが在籍しており、視覚障がいがある人に向けた「ブラインドメイク※」のレッスンが受けられます。
※ブラインドメイクとは、視覚障がい者のQOL向上に化粧が役⽴つことに着⽬した⼤⽯華法さん(公益社団法⼈化粧療法協会会⻑)が、2010年に考案した化粧療法のこと。
目が見えなくてもメイクをしたい、という人のニーズに応えるこの取り組みについて、OSAJIメイクアップアーティストの後藤勇也さん、OSAJI企業広報の酒井陽子さんにお話を伺いました。
OSAJIメイクアップアーティスト 後藤勇也さん
直営店やOSAJI取り扱い店舗でお客様へのメイクレッスンを中心に、スタッフへのトレーニングや撮影業務、メイクアイテムの開発などに携わる。
前回記事
「「目が見えない人のメイク術」を体系化。ユニバーサルな美容カウンターを目指すおしゃれコスメOSAJIの挑戦」>>
メイクは「心に作用する」もの
——メイクは、どちらかというと「義務的にしなきゃいけない」「仕事だからする」っていう気持ちが強かったんですけど、自分では見えていなくても、「メイクをすることで気分が上がる」というのは、メイクの根本的な意味を考えさせられるなと思いました。改めてメイクの力はどんなものだと思いますか?
後藤勇也さん(以下、後藤):この仕事に10年以上携わっていますが、メイクは基本的にわくわくするものですし、自分がキレイになる、変化することで、自信が湧いてくるものだと思います。心に働きかけるもの、といいますか。美容師さんに髪をきれいにすいてもらうと、心地よくて眠くなって……そんな感覚になったりもしますよね。
目が見えない方のブラインドメイクも、「自分が変わっていくことが想像できる」ことで、心地よさを感じたり、ほっとしたり、何かしら心に作用するものがあるのでは……と思うことがあります。
例えば、「ピンク」という色を伝える場合でも、より具体的な色の印象を伝えることで、自分の顔にピンク色がのったときに、こういうふうに変わっているのかな? と想像しやすくなります。そうして、わくわくして心が満たされることで、自信も出てくるんじゃないかなと感じます。
酒井陽子さん(以下、酒井):例えば、コスメやスキンケアに目覚める小学校高学年〜中学生が最初に何から始めるかというと、おそらく洗顔からなんです。OSAJIに来てくださる若い方たちも、しっかり泡立ててやさしく洗顔しただけで、「いつもの洗顔」との違いにすごく感動されることがあります。
そうした「肌の変化の実感」も、目が見えているかどうかに関係なく、女性も男性も共通のものではないでしょうか。自分の中にある美への追求心に従って自分が変わっていく様子を、視覚や聴覚、触覚など何かしらの感覚でわかるというのは、とても大事だと感じます。
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