そうは言っても、2つ先の駅は今の家のエリアよりグッと郊外感が増すので、正直その点が懸念ではあった。ところがいざ訪れてみると、その家の開放感にすっかり魅了されてしまった。まず一番気に入った点は、家の東と西の両側に大きなバルコニーがあること。窓を開けると、涼やかな風が家の中を通り抜けていく。8年住んだ家は空気が篭りがちで、夏は特に風が抜けなくてキツかった。それがここでは、まるでハワイみたいにいい風が吹いているのだ。
さらに私のハートを掴んだのは、キッチンがとても広々としていること。日本である程度の広さの家に住んでいた頃でさえ、ここまで広いキッチンはなかったと思う。ビルトインのオーブンがあるのもポイントアップになった。
しかしながら、環境の良さは8年住んだ家の方がずっと上。近所にあれこれお店があってとても便利だし、最寄りのマルシェはどこのスタンドが良いかもわかっている。通い慣れたスーパーのモノプリには、もはや仲良くなって、毎度話をする店員さんまでいるほど(笑)。対して新しい家の周りにはあまりパッとした店もなく、スーパーもマルシェも遠い。美しい森も遠くなってしまう。
そんなことを踏まえると、別の大家さんの物件、または不動産屋さんで見つけた家だったら転居を躊躇していたかもしれない。でも、大家さんが変わらないので、通常の1ヵ月前退去申告ルールに従う必要もなく、引っ越し、及び古い家の引き渡し日程もフレキシブルに対応してもらえる。つまり、引っ越しのデメリットは環境についての懸念以外はほぼなく、広い家に移れることになる。今のフランスの物価においてこんな好条件、他にないのでは?
その後、大家さんにいいよと言われたので図々しく2度も内見をさせてもらい、家の周りをしつこく散策&点検。家自体は気に入っている。環境のことは、住んでトライしてみないとわからない。ならばもうGOでしょ! そう決断を下し、とうとう引っ越しを決めたのでした。
<書籍紹介>
『GOROGORO KITCHEN
心満たされるパリの暮らし』
著:井筒麻三子 写真:Yas
定価:¥1980
講談社
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パリで働く日本人Mamikoが、暮らしのvlogをYouTubeチャンネル「GOROGORO KITCHEN」でアップし始めたら、日本人だけでなく、世界中の人たち(現在チャンネル登録者数41万人)からの熱い支持が!
色や柄を自由に使った小さいけれど素敵な部屋、フランスの家庭料理も普通の和食も作る日々のおうちごはん、蚤の市でのお宝探し、農家からもらってきた2匹の猫……。
パリのおすすめレストランや、喜ばれるパリ土産もランキング形式でご紹介。
YouTubeでは語りきれない暮らしのコツや素顔のパリのエッセイを美しい写真と共にたっぷりとお届けします。
前回記事「「日本人であることは最強のカード!」パリで外国人が賃貸物件を探すということ【井筒麻三子】」>>
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