「家族じゃなくても頼っていい」夏ドラ【海のはじまり】【西園寺さんは家事をしない】が伝える新しい“家族と子育てのカタチ”<br />_img0
『海のはじまり』(フジテレビ系・毎週月曜21時〜)公式サイトより。

『海のはじまり』第5話では、美容院に関するエピソードが描かれていました。未婚で子どもがいない弥生(有村架純)は、ゆっくりと美容院で癒やされることができる。でも、シングルで子どもを育てているお母さんは、自分のために時間やお金をかけることに罪悪感を抱き、「カットだけで。はやく子どもを迎えに行きたいから」とセカセカ帰ってしまうんです。これも、“親だから子どもを何よりも最優先にしなければいけない”、“息抜きをする時間があるのなら子どものために使わなければ”という固定観念から来ているものなのかもしれません。

 

『海のはじまり』と『西園寺さんは家事をしない』が伝えたいメッセージとして共通しているのは、“他人に頼ってもいいんだよ”ということ。頼る側は、どうしても罪悪感を抱いてしまいがち。でも、頼られるのって案外うれしいものなんですよね。西園寺さんも津野くんも、ルカ(倉田瑛茉)と海(泉谷星奈)の面倒を見るのが人生の楽しみになっていました。もちろん、頼られるの大嫌い! という人もなかにはいるかもしれないから一概には言えないけれど、「頼っていいよ」というシグナルを出している人は、きっと頼られることに喜びを感じられる人だと思うんです。

家族じゃないから頼っちゃいけないとか、そういう固定観念を脱ぎ捨てて、新たな子育ての形を作っていけばいい。『海のはじまり』と『西園寺さんは家事をしない』は、過渡期にいるわたしたちにそんなメッセージを届けてくれているような気がします。

その一方で、家族だから支えなければならないわけじゃない。これは、現在放送中のドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(NHK総合)が伝えているメッセージ。以前も連載で取り上げましたが、家族だから支えなきゃとか、家族だから愛さなきゃとか、そういう固定観念を一度フラットにして考えることで、家族に対する“負荷”がなくなり、見える景色が変わってくるんですよね。

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『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(NHK総合・毎週火曜22時〜、NHKBSプレミアム4K・毎週火曜18時15分〜)公式サイトより。

血縁がなくたって、家族みたいに頼ってもいい。家族だからって、愛さなければいけないわけじゃない。今期は、“家族”の自由さをテーマにした作品が多く放送されています。終盤に近づいてきましたが、ぜひチェックしてみてくださいね。

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