だからこそ、「次に引っ越すなら絶対に家具なし!」と思っていたけれど、フランスでは家具なしというと、それこそガス台や洗面台もないことがある。家という箱だけあって、それ以外はお好きに調達して下さい、という感じ。賃貸なのにそんな基礎まで買うのはなあ……。その点もまた、引っ越しをずっと躊躇していた理由だった。
新しく引っ越した先は、もともと大家さんのお母様の家だったそうで、内見の際は、大きな飾り収納棚やベッド、タンスなどさまざまな家具がまだ残っていた。大家さん的には、そのまま家具を残して家具付きで貸し出した方が楽だし、家賃も高め設定にできたと思う。
でも私たちが長いこと店子を続けていたよしみなのか、「家具は要りません」というと、全て撤去に応じてくれた。それも、キッチンのガス台やオーブンなどの電化製品は備え付けがすでにあり、冷蔵庫と洗濯機は買い替えてもらえることに。おかげで、基礎的なものは買わなくて済み、それでいてソファやベッドなど、好みを反映したいインテリアアイテムは自分たちで買えることになった。
全てを賄わなくて良くなったとはいえ、当然それなりのお金はかかる。現実的で財布の紐が硬い夫は、「飛ぶようにお金がなくなるなあ」と毎日ブツブツ言っているほど。それでも私は、好きな家具を揃え、自分らしいインテリアを作れるのだという思いに、今ものすごくワクワクしている。
<書籍紹介>
『GOROGORO KITCHEN
心満たされるパリの暮らし』
著:井筒麻三子 写真:Yas
定価:¥1980
講談社
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パリで働く日本人Mamikoが、暮らしのvlogをYouTubeチャンネル「GOROGORO KITCHEN」でアップし始めたら、日本人だけでなく、世界中の人たち(現在チャンネル登録者数41万人)からの熱い支持が!
色や柄を自由に使った小さいけれど素敵な部屋、フランスの家庭料理も普通の和食も作る日々のおうちごはん、蚤の市でのお宝探し、農家からもらってきた2匹の猫……。
パリのおすすめレストランや、喜ばれるパリ土産もランキング形式でご紹介。
YouTubeでは語りきれない暮らしのコツや素顔のパリのエッセイを美しい写真と共にたっぷりとお届けします。
前回記事「“縁”は向こうから来るもの!?お引っ越しはある日突然に【パリ在住・井筒麻三子】」>>
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