人気YouTubeチャンネル「GOROGORO KITCHEN」のMamikoこと井筒麻三子さんが、パリでの家探しや新しい暮らし方を綴ります。  

パリに移住してすぐ、語学学校の友人を介して知り合った、フランス人の友人家庭がある。日本大好きなご夫婦で、最初は日本語とフランス語の語学交換勉強のためにご自宅に伺っていたのだが、気がついたら友人として普通に遊びに行くようになっていた。

知り合った当時からパリではなく、パリから少し先の郊外に住んでいた彼らなのだが、数年後さらに遠くへ引っ越すことになった。なんでそこに引っ越すの? と聞いた際、逆に聞かれたのが「でもなんで日本人はみんなパリに住むの? 家賃が高くて、良い物件も少ないのに。郊外に行けば、ずっと広い家に住めるよ」。

 

当時はそれを聞いても「いやー、郊外はありえないでしょ」としか思えなかった。日本人にとって、パリとフランスのそれ以外の街は、全然違う。雑誌のパリ特集はしょっちゅうあっても、フランスのそれ以外の街特集はあまりお目にかかったことがない。パリにいなければ、存在価値がなくなってしまう。ずっとそう思い込んでいた。

パリか、パリ以外か。街のブランド感と住み心地、どちらを優先させる?【フランス在住・井筒麻三子の住み替え備忘録】_img0
パリといえばセーヌ川。パリに実際住んでみたら、セーヌ川の近くなんてとてもじゃないけれど無理! と分かりました。ビックリするぐらい、パリの中心は家賃が超高いです。

実際それは、臆することなく言ってみると、私以外の在仏日本人の多くも思っていることなんじゃないかなと思う。私が特に実感したのは、初めて仕事でご一緒する、在仏歴ウン十年フォトグラファーさんに名刺を渡した時。私の名刺には、以前の住所を載せていた。8年住んだアパルトマンは、パリに道1本隔てた場所だったとはいえ、パリは75県と呼ばれるのに対し、我が家は94県という県。住所的には、完全に郊外のものだった。それを見たフォトグラファーさんは、「あ、フランス人の旦那さんがいるのかと思った。だって、住所がパリじゃなくて郊外だからさ」。

 
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