結婚・出産による離職への不安から、“手に職”を


他にも、地方女子の「医学部重視」と「資格重視」の傾向も指摘されています。東大に行くより、地方国公立の医学部に行くほうがいいという価値観が根強いというのです。それだけでなく、地方女子は資格重視の傾向が強く、背景に「結婚や出産を経ても復職しやすい」という理由が指摘されています。
 

 


ジェンダー不平等と東大女子が増えない理由は繋がっている


なぜ東大の女性比率が増えないのか。さまざまな要因がありますが、女性の自己評価が低いこと、安全な道を選ぶ傾向が強いことなど、全てが日本のジェンダーギャップ指数が低空飛行を続ける(2024年は146カ国中118位)現状と繋がっていると感じます。

女子にかけられる教育費は男子より低い、浪人したら結婚・出産が遅れる?!地方女子の東大進学を阻む呪いとは_img0
 

現職の国会議員から昭和初期からタイムスリップしてきたのかと思うようなとんでもない女性蔑視の発言が飛び出すこともあります。いまだに結婚や出産を機に離職したり、働き方を変えざるをえない女性が多く、男女の賃金格差は改善されていません。そんな社会で生き抜くために、女性たちは安全策を選ばざるをえないのではないでしょうか。

江守氏、川崎氏は、この問題の背景に「構造的差別」があると指摘しています。
 


特定の属性の人が、等しい機会を得られずに排除され、あるいは人一倍の努力をせざるをえない状況を「構造的差別」と言います(令和6年度藤井総長祝辞より)
(『なぜ地方女子は東大を目指さないのか』 江森 百花 川崎莉音 著、光文社)
 


機会は平等に与えられているのに、結果を出さない女性たちが悪い、そんな声も根強いですが、さまざまな環境的要因が重なった結果、まさに社会構造によって、選択肢を奪われ続けているのだと思います。
 


写真・イラスト:Shutterstock
文・構成/ヒオカ
 

 

女子にかけられる教育費は男子より低い、浪人したら結婚・出産が遅れる?!地方女子の東大進学を阻む呪いとは_img1
 

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