役割が決まっていない服は持たない。役割がない宙ぶらりんの服は、会社の窓際族みたいなもの
それではどういう服を買うべきなのでしょう。昔、年上の友人が、ハイブランドの服は上質で長く着られると勧めてくれましたが、物価上昇の今、なかなか手が出ません。
「私のおすすめは、役割が決まっていない服は持たない、ということ。昔は私も、安かったから、ちょっとかわいいから、って理由で買った服をいっぱい持ってました。今は服を買う時、これはどのシーズンで頻度はどのくらいで、って役割が決まっています。役割がない宙ぶらりんの服は、会社でいうと窓際族みたいなもの。役割を決めることで服を生かすことができます」
今の自分のクローゼットは、便秘で宿便がたまっている上、窓際族の悲哀に満ちている気がしてきました。
「数が多いと楽しいことのように思えますが、時間とエネルギーが奪われていると思います。クローゼットをマネージメントしていくのが大切です。自分が社長になったつもりで、クローゼットの服に役割を与えましょう」
そうするとリストラされた服の恨みが来そうなのも気になりますが、リサイクルに出したり古着屋に売ったりすることで、新たな持ち主に役割を与えてもらえる、というポジティブな未来もあるそうです。感謝をこめて手放せば服も成仏してくれるはず……。
「次の人が欲しかった服がちょっと安く買えたのなら、問題ないです。罪悪感はいりません。誰かのためになっていると思ってください。ただ回していく。呼吸も誰かが吐いた息を吸ってますからね」
服は買っても良いし、捨てるなら循環させていけば良い。昼田さんのアドバイスでかなり気が楽になりました。今まで買いまくった服も完全に無駄ではなく、何らかの役割を果たしてくれたのでしょう。クローゼットの中の忘れられた服たちに「ありがとう」とお礼を言うことから始めたいです。
次回は、さらに具体的な捨て方や服の選び方などについて伺います。
(次回は9月29日更新予定です、お楽しみに!)
「アラフィフの壁」を無理なく、軽やかに越え続ける漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さんが、自らのアンテナに引っかかった事象を紐解く連載です。「服、アクセサリー、食器、バッグ、本、雑誌などあらゆるものを溜め込みがちで、生命エネルギーが奪われている気がする」というなめ子さん。そんな長年の悩みを解消すべく、連載「断捨離で見えた私と服の新しい関係」でもおなじみのエディター昼田祥子さんに服捨ての極意を学びます。
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前回記事
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構成/露木桃子
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