鏡を通して見えてしまうのは、自信が無くていつも迷って、不安を抱えた自分。大人になっていつの日からか、そんな自分を直視できずにいたんです。でもあるとき、大きな鏡の前に座る自分に勇気をもらったことがありました。それは、美容室での出来事です。
いつもお世話になっている美容室では、髪色もカットの方法も、大まかな希望だけ伝えてほとんどおまかせ。仕事帰りに訪れたその日も、私はいくつかの希望だけ伝え、雑誌に目を落としていました。実はこの翌日、私は「いよいよ危ない」と言われていた入院中の父の面会へ行く予定をしていたんです。落ち着かない気持ちを抱えたままシャンプー台に移り、ヘッドマッサージをしてもらいながら髪を洗ってもらっていると、だんだんと凝り固まった気持ちがほぐれていくのが分かりました。顔にかけた布の下から、何故かつい、「明日、父のお見舞いに行くんです」と言ったことを覚えています。
毛先を整え、すっきりと切った前髪の下から見つめた鏡には、自分でも驚くほどやわらかい表情の私が写っていました。シャンプーをしてもらったせいか顔の血色がよく、カラーリングした髪はツヤが出ていて、こんな状況にもかかわらず、私は思わずうれしくなってしまいました。そして思ったんです。「あぁ、この姿で、父にちゃんと安心してもらいに行こう」と。自然と、背筋がシャンとするのを感じました。
本当に、そうだと思います。いつの間にか容量満タンになっている自分を、プロに「お願いします!」と預けてみる。それだけで、身体中に抱えていた重さはグッと軽くなります。ヘアサロンでも、マッサージでも、鍼灸でも、自分が信頼できるプロを見つけられたら、そこは美容の、そして心の駆け込み寺。MEGUMIさんのメッセージに心から共感しました。
美容が心に効いた実感。そう呼べる出来事があってから、私はちょっと緊張する日の前には必ず美容室へ足を運ぶようになりました。仕事の面接、イベントの登壇、撮影、もちろんそれは自分の「外側」を美しくしたい、という気持ちもありますが、実のところはきっと「内側」を整え自分を保ちたい、ほんの少し自分に自信を持たせてほしい、という想いからです。
思春期に鏡ばかり見つめていた私も、大人になって鏡を見なくなった私も、心に秘めるものは実は同じでした。人からどう見られるか、どう評価されるのか、そんな不安がうっすらホコリのように心に積もっている。
気にしていたのは見た目よりも中身のことで、ならば外側の美容をすれば、内側の心が強くなる。この逆転の発想は、ずっと人から見られる仕事をして生きてきたMEGUMIさんだからこそのメッセージではないでしょうか。最後に、この本で私が1番好きだった言葉をここに置かせてください。私も、こうありたいと思います。
「弱いまま、強くなる」
著 MEGUMI
講談社
発売日:2024年5月12日
1650円(税込)
「メンタル強い」「ブレない」と思われがちな MEGUMIが、さまざまな経験をし、10年をかけて、あらゆる美容法を試した末にたどり着いた、心に効く「美容法」と「思考法」を紹介。
MEGUMIが実際に使用しているコスメやサプリの写真も多数収録。
読んだ人が、美肌と自己肯定感を両方手に入れて、少しでも毎日が明るくなるように。頑張っている人に寄り添い、優しく背中を押す一冊です。 心の危機に陥り、メンタルがどん底だったとき、どうやって乗り越えたか。 ここでしか読めないロングインタビューも掲載。
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・Amazon趣味・実用ランキング1位
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・「オリコン週間BOOKランキング」のジャンル別「美容・ダイエット」1位(5月20日付)
文/小黒悠
前回記事「「弱いまま、強くなる」MEGUMIさんってやっぱりいい!特に刺さった3つの言葉」>>
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