ライターをしているのは「ライターしかできない」から


ヒオカ:稼働時間が人より少なくても、1人稼いで食べていかなきゃいけないし、奨学金も返さないといけない。3倍くらい効率よく働くしかないんですよね。

終電さんがご著書『シティガール未満』の中で、フリーランスって聞くと「選んでやってる」、さらに書き手っていうと、すごく“夢を追いかけてる”みたいなイメージを持たれがちだけど、普通にフルタイムで働くことができないから、それぐらいしか選択肢がない、みたいに書かれていたのにめちゃくちゃ共感しました。数ある中からライターを選んだのではなくて、他の仕事がほとんどできないっていう。

終電:まず会社員っていう労働スタイルが無理ですよね。フルタイムで出社して、自分のペースで休むのは難しいから。

ヒオカ:終電さんは8時間労働を週5でやるっていうのはやったことがないってことですよね。

終電:通勤してはないですね。

1日11時間寝ないと生活が破綻…体力ない・虚弱体質ライターふたり「1日8時間週5労働前提は無理がある」_img0
ヒオカさんの「虚弱体質」対策グッズ
①熱さまシート:頭痛持ちで、頭痛のたびに火照るのでこれが手放せない/②ユニクロのエアリズムのパーカー:気温の変化に弱いので、上着はいつも持ち歩く/③めぐりズム蒸気でじんわり 足シート:足が冷えると頭痛が起きるため、冷えたとき足に貼って温める/④耳栓:音に敏感なのでこれがないと寝れない。寝ている間ずっとつけている/⑤サングラスと日傘:直射日光を浴びると頭痛になるので、外出の際は常備

ヒオカ:私は一応できたんですよ。でも、毎回始業から5〜6時間ぐらいのときに、もう体力が完全になくなってしまって、肺が痛くなるんです。体力がゼロみたいな状態になってしまうので、残り2~3時間が消化試合みたいな感じ。頭痛の発作で寝込むときもあるけど、吐き気をもよおしながら無理やり体を引きずって出社するみたいな日もありました。週5でフルタイムで働くっていう前提がもうおかしいなって思いました。

終電:体力がある人前提で社会が回りすぎてるって思います。

 


「フルタイム8時間・週5勤務」はシステム的に無理がある


ヒオカ:週3で働けるところでいいじゃん、という意見もあるかもしれませんが、非正規であれば週3で働くこと自体無理じゃなくても、ほとんどの企業の場合、自活できるほどの収入は伴わないじゃないですか。その時点で週3でもいいって話じゃないですよね。週5でフルタイムで働いても、生活できるかどうかギリギリの水準なのにってなりません?

終電:そもそも、昔って家族の中で男性が外でフルタイムで働いて、女性が家事をやるっていうシステムだったわけじゃないですか。その前提のまま社会構造が変わってないっていうか、フルタイムで8時間働くって、家事をやってくれる人がいる前提の仕組みだと思うんですよ。今、一人暮らしの人とか共働きの人が多いのに、未だに1日8時間、週5日は最低でも働けるのが普通、っていうのがおかしいなと思うんです。

ヒオカ:だからフルタイムで働いたら、もう家のこと、食事をするだとかお風呂に入るだとか、そういうことをやる体力が残ってないのに、一人暮らしだと、専業主婦と働いてる人のふたり分の仕事の役割をしている状態で、それは持たないよねってことですよね。

終電:仕事と家事の両立って、そもそもできなくて当たり前だと思って生きてるんで私は。だからマインドとしては、家事とか、多少できなくても当たり前って思って、自分を責めないようにしてます。

編集部:執筆はどういうペースでやっていますか。

終電:あんまり決めてはないんです。でも調子いいときに書いておこうっていうのはありますね。急に調子悪くなったりするので、それに備えて早め早めにやるようにはしてます。

ヒオカ:調子悪くなるっていうのは具体的にどうなるんですか。

終電:私の場合、体と頭が基本的に連動してるっていう感覚で、体の調子悪くなると頭の働きも悪くなるから、書くスピードも遅くなるし、あんまり言葉が出てこなくなったりする。そうなったら怖いので、もう締め切り前になるべく終わらせるみたいな感じです。

編集部:調子がいいときに前倒ししておとくことで、調子が悪くなったときに備えるんですね。