この連載は45歳以上の資産形成がテーマですが、中高年の場合、15〜20年かけて運用することは無意味だと感じた人がいるかもしれません。しかし現実はその正反対です。その理由は、大半の人にとって、人生というのは相当長いものだからです。

20年と聞くと長いように思えますが、例えば、今、45歳の人が20年経つと65歳となり、ようやく年金をもらえる年齢です。日本人の平均寿命は85歳ですから、そこからさらに20年もあります。不謹慎な言い方になりますが、これからの時代はむしろ長生きすることのリスクが危惧されるくらいなので、「時間がない」と考える必要はまったくないのです。

近年は、多くの人が65歳まで働いています。体が元気であれば、60代半ばまではそれなりの年収を確保できそうですが、その後はどうでしょうか。65歳を過ぎれば体もあちこちにガタがきますし、一部の人は慢性的な疾患を抱えることになります。少なくとも、40代や50代の時と同じように働くのは難しいと考えるべきでしょう。

一方で先ほど説明したように、普通に生きると85歳前後まで人生は続きます。そうした観点で考えると、40代もしくは50代で運用を開始し、おおよその投資期間を20年と定めれば、65歳を過ぎ、体が弱ってきた時に一定額の資産を持つことになり、これは非常に合理的な選択といえます。

【45歳からの資産形成】“もう遅い”と思っているならそれは間違い!人生100年時代の「時間」との向き合い方_img0
イラスト:Shutterstock

これからの時代の老後というのは、体が元気なうちは可能な限り仕事を続け、基本的な収入の柱とすべきです。65歳以降、もらえる年金は働いて得たお金の足しと考え、勤労収入と年金の両者を生活費と位置付けるべきでしょう。先ほども述べたように、私たちの体はどんどん老化していきますから、いつまでも同じペースで仕事ができるとは限りません。仕事のペースを落とせば年収も減っていきますから、その穴を埋めるのが運用収益と考えれば良いでしょう。

老後と言っても、60代と70代、80代では状況がまるで異なります。年金をもらい始める頃は就労と年金の両者を基本とし、徐々に資産からの収入にシフトしていく流れが理想的です。

 

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