定年4.0時代に求められるマインドセットの転換


3つの「セット」の中でも、特に中高年の方々がリスキリングを行う場合に、まず必要となるのが、マインドセットの転換です。リスキリングを前向きに進めていくために欠かせない重要なポイントですので、私の前著『新しいスキルで自分の未来を創る リスキリング 【実践編】』(日本能率協会マネジメントセンター)にも掲載した「7つのリスキリング・マインドセット」を、「定年4.0時代に求められるマインドセット」として改めてご紹介します。

1. 「まずやってみる」を心がけよう

“悠々自適な定年後”はもうやってこない。「定年4.0」時代を生きる中高年に必要な“7つのマインドセット”とは_img0
 

初動で、「まずやってみる」ことが何より大切です。日本のビジネスにおいては、慎重で失敗しないことを良しとし、様子をうかがってから動く、といった姿勢が多く見受けられます。しかし、それよりもその行動が正解なのかどうか、成功するか失敗するかなどと考える前にまずやってみて、その結果、自分の中に湧き上がってくる気持ちを正直に受け止めるという習慣を身につけることが大切です。新たなスキルやツールの使い方を学ぶにしても、過去事例や他社事例などを調べて、知っているつもり、わかったふりの状態でいるのと、実際にやってみて感じ取った気持ちをふまえて学ぶのとでは、理解度や納得度が全く異なります。正解へのたどり着き方は、やってみたことをふまえて後から考えればいいのです。

 

2. コンフォートゾーンから飛び出そう

“悠々自適な定年後”はもうやってこない。「定年4.0」時代を生きる中高年に必要な“7つのマインドセット”とは_img1
 

解雇に対する過度の恐怖心などから、やみくもに流行りのスキルを学ぶのは問題がありますが、個人が健全な危機感を持ちながらリスキリングに取り組むことはよいことだと考えています。少子高齢化の中で放っておけば縮小均衡していく日本のビジネス界では、現時点で安全な領域(コンフォートゾーン)に留まっていると、外部環境の変化に適応しづらくなり、気づいたら手遅れの状態になりかねません。コンフォートゾーンから出て、「居心地の悪い状態に慣れる」ことができるかどうかがリスキリングの成否を分けます。未知の領域で挑戦し続けることは、最初は居心地が悪いかもしれませんが、次第に慣れてきます。筋トレと同じで、最初は筋肉痛がありますが、慣れてしまえば、自分に起こる変化が楽しくなってきます。