「我が家はとにかくライトがないから、何かフロアライトを買いたいね〜」なんて話しながら歩いていると、突然ホワッ! と気分が上がるような、小さめの食器棚を発見。ブルーグリーンの色も素敵だし、佇まいもただただ美しい。お値段も、決して法外な額ではなかった。

それまでまったく、新しい食器棚を買おうなんて気持ちはなかった。でもその食器棚の美しいデザインといい色といい、私の好きなディテールが詰まっていて、グッと心を掴まれた。さらにオーナーの説明曰く「19世紀後半のもので、作風はルイ16世スタイル。ルイ16世やマリー・アントワネットが好きだったリボンのデザインが特徴的ですね。扉に配されている鏡は、水銀でできているんですよ」。つまりこれを買うと、歴史の授業で耳にしていた(だけの)ルイ16世やマリー・アントワネットにつながるものが、我が家にやってくるってこと? なんかそれすごくない?

それでも、私一人だけだったら「そうはいっても必要じゃないしね」と自分に言い聞かせて諦めていたかもしれない。それがまさかの、「これ最高! 絶対買うべき」という夫の一押しが。結局、何に使うのかも考えないまま購入してしまった。

自宅に帰ってからしかし、「あまりに考えなさすぎだった。どこに置くのだ?」と正直悩んだりもした。けれど家具が到着してからは、あちこちに配置して他の家具とのバランスを見る……を繰り返し、ここならばと思える場所を確保することができた。

欲求に駆られて衝動買いした「まったく不要な家具」が、実は最高だった話【フランス在住・井筒麻三子】_img0
手持ちの食器棚と合うのかな? などと色々不安でしたが、窓際のスペースにちょうどよく収まってホッ。

今この原稿を書きながらも、横目で見ると、やはり美しい食器棚。買ったことに後悔は全くないし、買わなかったら後悔していたなあと思う。とはいえこんな無謀な買い方は、たまたまうまくいったラッキー案件かもしれない。それでも、偶然見つけたものが今のリビングに必然として存在しているのを見ると、冒険ってそれなりに大事なのかもなあと思ったりする。その匙加減はなかなか難しくて、今後同様の機会があったとしても、毎回悩んでしまうだろうけれど。

 

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<書籍紹介>
『GOROGORO KITCHEN  
心満たされるパリの暮らし』

著:井筒麻三子  写真:Yas
定価:¥1980
講談社

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撮影/Yas
 


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