電話では、「絶対稼げます。間違いなく大丈夫ですよ!」といわれます。借り入れをさせられたと自覚がある人に対しては「借りた以上に稼げますから。返済も大丈夫だから安心してください!」と言葉巧みに畳み掛けます。
電話を切ろうとすると「本当にいいんですか?」と脅してきたり、それでも切ろうとすると電子書籍を絡ませて、後払いでもよかったけれど、払ってくださいと、なかなか切る隙を与えません。

「被害者が増えているとはいえ、世の中の割合でいったらまだ少ない。なので、詐欺業者からすると、来たお客さんからは絶対むしり取ってやろうと。最悪、脅迫のようになります。アンケートでマイナンバーも提出させられたりもしていますからね。この時点で、詐欺業者に個人情報を握られている状態になっているのです」と佐久間さん。


まだまだ詐欺集団からの接触は続く その理由に愕然!


しかも、これで終わりではありません。

「これだけやらせて、すぐ逃げたら『詐欺だ!』と気付かれて、対応されてしまうので、彼らはこの段階では逃げません。ここからちゃんと、サポートするよという雰囲気を出すんです。何をするかというと、別に特別なことではなく、よくある副業を被害者と一緒にこれから立ち上げていきます。

多いのが、アフィリエイトやInstagramなどのライバー募集(ライブ配信者)、あと転売(せどり)ですね。例えばアフィリエイトの場合は、一緒にブログやnoteを立ち上げる。転売だったら、メルカリやBASE(ネットショップを作成できるサービス)の枠組みを作る。要は、その副業をするのに必要なアウター、器を一緒に作るだけなんです。

なぜそういうことをするかというと、一応何かやらないと詐欺になってしまうから。

といっても、これをやってもやらなくても、間違いなく詐欺罪です。他にも特定商取引法や消費者契約法などにも違反をしています」(佐久間さん)

一体、騙された側は、いつ詐欺に遭っていると気づけるのでしょうか?

「だいたいサポート期間は1〜2ヵ月。例えば200万円借りて、アフィリエイトで2、3ヵ月後に200万稼げると思いますか? 絶対稼げないですよね。ライバーや転売・せどりでももちろんそんな短期間に稼げません。

ただ、彼らは『稼げなかったら全額補償』と普通に言ってくるんですよ。しかし、全額補償されるのは、最初の電子書籍代だけ。しかも書面には絶対にそういう文言は残さないんです。大事なことは全部電話でやり取りを完結させます」(佐久間さん)

証拠を残さない…あまりにも巧妙かつリアルな手口で、自分もいつ被害者にもなるかわからない怖さがあります。

ここまで副業詐欺の手口をご紹介しました。さらにこの後の展開は? また、詐欺と気づいた後はどのように対応すればよいのか。次回詳しく、引き続き、佐久間弁護士にお話を伺います。
 

 

構成/佐野倫子
イラスト/Semo
 

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