「肯定文(〜して)」のお願い事から始めてみた


——野波さんは、アキラさんとの関係改善のためにどんなことから始めましたか?

野波:アキラさんの特性を知って、私も対処法を学び、まずは【OK指令】を使うことから始めてみました。これは、お願い事を「肯定文(〜して)」で伝えるというものです。たとえば、「子供の勉強をみてやって」「帰宅時間を連絡して」「父親らしくして」など。ただ、【NG指令】を使っていた頃より拒否感は示さなくなったものの、あまり効果は感じませんでした。内容に具体性がなかったり、あるいはアキラさんが納得できる理由がなかったりしていたからです。

——本書では、【OK指令】を伝えるときは「こうしたらいいですよ」と、事細かにコツを解説してくださっていますが、野波さんの失敗経験も反映されているんですね。

野波:「3時までにやって」「シワになるからハンガーにかけてクローゼットにしまって」「夕飯つくるから子供と遊んでて」など、“してほしいこと”を具体的な内容や数字を伝えると、より伝わりやすくなります。そして、お願い事をしてくれたら、笑顔じゃなくてもいいので、口角を上げて、高めの声で「ありがとう!」「うれしい!」と伝えると、それが“ご褒美”になって、次の行動にもつながっていきます。夫のアキラさんのように、自分の何が悪いのかがわからず、注意しても理解してもらうのが難しいパートナーや家族には、まずはこの具体的な「肯定文(〜して)」から始めてみるといいと思います。
 

 


育児に介護…やることが山積みのミドル世代が、「あの人」に協力を仰ぐときのおすすめの接し方6つ
▼右にスワイプしてください▼

「“話し合う”ことが必須になると思うので、それを可能にする段階を踏むといいと思います。いきなり“話し合いましょう”と言ってもうまくいかないので、時間をかける必要はありますが、一つずつ試してみてください」(野波さん)