本人確認にスマホでの自撮り写真を活用する事業者も増えているようですが、AIの性能が不十分なせいか、何度も撮り直しをする必要があったり、リクエスト通りに撮影しているにもかかわらず拒否されるといった事例をよく目にします。
確かに利用者に自撮りさせた場合、著しく条件の悪いところで撮影したり、指定された条件とは異なる写真を送ってくる利用者もいるわけですが、一方で、AIの能力不足から、指定された条件をクリアしていても受理されないことも少なくありません。
この問題は、ある程度、経験を蓄積することで解消できるはずですが、技術が未成熟なままAIを使えば、それもままなりません。低い技術力のままAIを使うと逆に生産性を下げることもあり得るという点には注意が必要でしょう。
これまで日本の職場は役割分担が不明瞭で、これが組織の生産性を下げているという指摘があり、以前と比べると、職場での役割分担もハッキリするようになってきました。しかし、役割分担も行き過ぎると逆に効率を下げてしまいます。
先日、あるサービス窓口で、自動音声の機械からいつまでも自分の順番が呼ばれないので、窓口に行って確かめることにしました。窓口から何度も「すみません」と声をかけたのですが、スタッフのほぼ全員が下を向いてこちらを見ようとせず、ガン無視されてしまいました。
近年はクレーマー対策などと言って、顧客からの直接的なリクエストには応えないという方針を貫いているところも増えているようですが、困っている利用者が、何度も「すみません」と声をかけても全員が無視をするというのは、明らかに異常な雰囲気といえるでしょう。
物事にはすべて程度、というものがあります。
何か一つをやろうとして、それを極端なところまで進めてしまうと、最初の状態よりもさらに悪くなってしまいます。何事もバランスが大切ですから、サービス提供者は、このあたりに常に注意を払っておく必要があります。
イラスト:Shutterstock
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