私の場合、コロナ禍前は、銀座の女性医療に特化したクリニックで、毎年の健康診断を受けていた。しかし、パンデミック超初期にコロナに罹患し、恐怖の中、2週間入院したS病院に本当に救われ、すっかりファンになってしまった。何が良かったって、医師も看護師も優しく共感的で、患者側に立った接し方が徹底していたこと。あの凄まじく不安な中、体だけでなく心の面でも、いかに救っていただいたことか。
また、病室の空間にも癒された。淡いベビーブルー色の壁は、なだらかな曲線を描いた作りになっていて、緑が見える大きな窓もあって、少しレトロな雰囲気。病院の内装がこんなにも患者の心理に影響するのか、と初めて体験した。それ以来、S病院は私の”推し病院”となり、人間ドックもそこに通うことに決めた。
最近は毎年、夫と、私の親友と、3人で一緒に受けにいっている。検査着で会場ですれ違う度、小さく手を振ったり、「どこまで済んだ?」「あの検査は空いている」と途中で情報交換したりして、検査がある種イベントのようになっている。終わった後付いてくるランチを今年は和食にするか洋食にするかと協議をしたり、当日すぐにわかる数値をシェアしたり、分かち合うことで楽しみを作り出す。こうすると、検査の怖さや億劫さがかなり和らぐ。
もっとも、私にとって負荷の高い検査、胃カメラと大腸内視鏡検査は、専門のクリニックで別途、2、3年に一回のペースで受けている。私の推し病院では麻酔の選択肢がないが、専門のクリニックでは麻酔をしてくれるため、意識のないうちに両方の検査を終えることができる。大腸がんは日本では現在、女性のがんによる死因第一位のため、検査は受けた方がいいと思っているし、胃カメラは、体が無意識に抵抗して喉を締めてしまうと、粘膜が傷ついてその後の喉の調子に響くため(以前すでに経験済み)、麻酔有りでしてもらうほうが私は合っていると感じ、このやり方に落ち着いた。
いずれにせよ、人間ドックや健康診断から健康維持のための指針を得ることは、不健康の種がまだ小さいうちに摘むチャンスとなり、健康キープしやすくなると感じる。そして、悪い方にだけではなく、良い結果にも着目すれば、さまざまな”やる気”を補充する機会ともなる。
今年の人間ドックで、私は、骨密度と肺活量が落ちていないどころか、結構良いことが確認された。骨密度が低下しがちと言われる年代の女子だが、骨密度が低下していない若い世代の平均の1.2倍ほどの密度があったのだ。面接の医師にも褒められ、「やった!」とガッツポーズ。夫には「どれだけ骨太なんだ」と言われた。ハハハ、骨太結構! 多少無理しても応えてくれて、一緒に日常を走ってくれる自分の「魂の器」である肉体を労り、感謝しながら、また一年がんばろう。
前回記事「50歳で女子校時代の制服を着てみた!子供の頃の「かわゆいママになりたい」という夢は叶えられなかったけれど【住吉美紀】」>>
Comment