ユナさんからの質問
Q.
老後はどこか東南アジアに移住したいと思っています。

私は韓国出身ですが、12年前に日本人の男性と結婚して、今は日本国籍も得て、日本で暮らしています。旦那は料理人ですがアルバイト、私は自営で輸入業をしており、経済的に苦しいので2人とも国民年金に入っていません。それに、言葉の不安もあり病院が苦手で、将来病気がちになったときのことを思うと憂鬱です。そのような事情もあって、老後は東南アジアのどこかに移住かなーとゆるく考えています。移住のために準備しておくといいこと、注意点など教えてもらえると幸いです。

特別ゲスト 金子稚子さんの回答
A.
移住を考えるなら、高齢者医療の充実している国を選ぶことが必須です

東南アジアの国への移住。たしかに生活コストが日本ほどかからないイメージがありますよね。でも今はそうでも、果たして将来はどうなのでしょう……?

終活を考えるにあたって一つお伝えしておきたいのは、“今の状態で先のことを考えない”ということです。たしかに今すぐに移住されるのなら、期待されているメリットも享受できるかと思います。ただこれが数十年後となると……。特に経済についてはどうでしょうか。東南アジア諸国はどんどん経済成長していますから、ひょっとしたら、物価は逆転しているかもしれませんよね。

加えて、移住を計画するにあたって、もっとも意識して考えていただきたいことをお話しいたします。

それは、“医療”についてしっかり考えてください、ということ。というのもずっとその土地に住むとなると、当然年齢を重ねて高齢になっていきますから、医療や介護を受けることがこれまで以上に多くなります。このときのチェックポイントとして重要なのが、単なる医療レベルではなく、“高齢者医療のレベル”を見ることです。

この判断目安となるのが、その国の平均年齢です。去年のデータですが、たとえばカンボジアは23.9歳、インドネシアは27.8歳、マレーシアが28.5歳と、東南アジア諸国の多くは20代なのです。これに対して日本は46.5歳。ちょうどミモレ世代ですね。これが何を意味するかというと……。

医療というのは、平均年齢に合わせて進展してきているものです。若者が多い国の医療と高齢者が多い国の医療では、その内容や制度が変わってくるのは当然です。まして日本は今、世界トップの平均寿命。世界でもっとも長生きの国ということはつまり、高齢者に対しての医療は、現時点で世界でもっとも進んでいると言ってもいいかもしれません。さらにそれが、国民皆保険制度のおかげで安く手に入れられるのです。日本にいたらあまり実感する機会はありませんが……。

高齢になると様々な病気を発症する確率が高まり、医療のお世話になることが増えるものです。このときどんな治療法があるのか……。その選択肢が多い国のほうが安心ではないでしょうか。

とくに65歳を過ぎるとがんにかかる方が増えます(私の夫は40代で発症するという稀なケースでしたが……)。がんは、治療法はもちろん、最後まで治療を続けて戦うか、痛みを和らげる治療だけおこない残りの人生を充実させるか、など、今の日本では様々な局面で様々な選択肢があります。でもこれが、まだ高齢者医療の発展していない国だとどうなのか? そういったこともぜひ考えておいてください。

ユナさんの場合、言葉の不安を抱えていらっしゃるとのことですから、安心して医療を受けるためにはもちろん韓国に戻られるのも選択肢の一つだと思います。もしくは、頼れる日本人の友達を作っておくのもいいでしょう。でも何より今は、日本人である旦那さんとしっかりした関係を築かれるのが一番かと思います。そうすればきっと、医療や介護を受けることになったときも、旦那さんが頼もしいサポーターとなってくれると思いますよ。

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PROFILE
  • 金子稚子(かねこわかこ)1967年生まれ。終活ジャーナリスト。終活ナビゲーター。一般社団法人日本医療コーディネーター協会顧問。雑誌、書籍の編集者、広告制作ディレクターの経験を生かし、死の前後に関わるあらゆる情報提供やサポートをおこなう「ライフ・ターミナル・ネットワーク」という活動を創設、代表を務めている。また、医療関係や宗教関係、葬儀関係、生命保険などの各種団体・企業や一般向けにも研修や講演活動もおこなっている。2012年に他界した流通ジャーナリストの金子哲雄氏の妻であり、著書に『金子哲雄の妻の生き方~夫を看取った500日』(小学館文庫)『死後のプロデュース』(PHP新書)『アクティブ・エンディング 大人の「終活」新作法』などがある。 この人の回答一覧を見る
  • 山本 奈緒子1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『with』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る